なぜ「自転車シェアリング」が、倍々ゲームのように増えているのか:水曜インタビュー劇場(赤い自転車公演)(1/7 ページ)
都内の中心部で「赤い自転車」をよく見かけるようになった。サドルの後方には、ボタンとICカードをかざせるカードリーダーが設置されている。なぜ、このような自転車が増えているのか。調べてみると、利用回数がものすごい勢いで伸びていて……。
東京の中心部をウロウロしていると、赤い自転車を見かけることがある。折り畳み自転車のようで、折りたためない。バッテリーが搭載されているので、電動アシスト自転車のようである。サドルの後方をよーく見ると、ボタンとICカードをかざせるようなカードリーダーが設置されている。
「サイクルショップで見たことがない、この赤チャリって何かなあ」と思って調べたところ、ドコモ・バイクシェアという会社と各自治体が共同で、実証実験を行っていたのだ。何を行っているかというと「自転車シェアリング」である。「カーシェアリングは聞いたことがあるけれど、自転車シェアリングってなに?」という人もいると思うので、簡単にご紹介しよう。
一般的な「レンタサイクル」は借りた自転車を元の位置に戻さなければいけないが、この自転車シェアリングの最大の特徴は“乗り捨て”ができること。さまざまなところに設置されているポート(自転車置き場)で原則24時間借りることができ(一部を除く)、好きなところに返却することができるのだ。
利用の流れも簡単である。PCまたはスマートフォンからWebサイトにアクセスして、会員登録を行う(クレジットカードが必要)。サイト上で予約をすると、4ケタのパスワードをメールで受信。サドルの後方に設置されているパネルにパスワードを入力すると、自転車のカギが開錠。返却するときは、手動でカギをかけ、パネルの「ENTER」を押せば終了である。
料金は、1回30分で150円(超過した場合、30分:100円)、月額会員は月に2000円払うと、乗り始めの30分だけ何度でも無料になる(延長した場合、30分:100円)。1日パスは3種類だけ。ドコモ・バイクシェアの親会社には嫌味に聞こえるかもしれないが、料金プランは携帯電話のように複雑ではなく、とてもシンプルなのだ。
そんな自転車シェアリングが、ビジネスパーソンを中心にウケにウケているのだ。利用回数をみると、2014年は55万回だったが、2015年は100万回、そして2016年は200万回を見込んでいる。自転車の台数もポートの数も、2014年に比べて、現在はほぼ倍に。まさに倍々ゲームのように「どーん、どーん」と増えているのだ。ということは、運営会社の懐に「チャリーん、チャリーん」と入っているはずなので、そのへんあたりを聞いたところ、残念ながら「非公表」であった。
ものすごい勢いで赤いチャリを利用している人が増えているわけだが、現在はまだ実証実験中である。手探りの状況で始めたにもかかわらず、なぜこれほど伸びているのか。その理由について、ドコモ・バイクシェアの井上佳紀さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
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