なぜ日本のカイロが、中国で売れているのか:水曜インタビュー劇場(暖公演)(3/7 ページ)
小林製薬グループの使い捨てカイロが中国で売れている。2003年に進出したが、当時、現地でカイロを使っている人はほとんどいなかった。にもかかわらず、どうやって市場をつくっていったのか。担当者に話を聞いたところ……。
技術力の高さをアピール
森田: 技術力の高さをアピールしました。自社のカイロは肩・腰・首など部位によって温度を変えているんです。にもかかわらず、肌温度は40〜42度になるようにしています。しかも、最低8時間は温度をキープできるような設計にしています。
土肥: 他社の商品は違うのですか?
森田: 温度にムラがある商品があるんですよね。例えば、いきなり70度になって、2〜3時間で冷えていく。
土肥: そうした商品がある一方で、小林製薬グループのカイロは長時間にわたって一定の温度に保つことができるということですね。なぜ、そのようなことができるのですか。
橋間: 鉄などの配合量に違いがあるので、温度にバラつきが出にくくなっているんです。当社の商品もかつては、商品によってバラつきがありました。例えば、30枚入りの中に、アタリ・ハズレがあるような感じで。でも、製造過程を繰り返し見直すことで品質を一定のクオリティに保つことができるようになりました。
カイロってコモディティ化しているので、「どの商品を使っても同じようなモノ」と思われている人が多いかもしれませんが、実は違う。天気、温度、湿度などによって、出来具合が微妙に違ってくるんですよね。
また原料の配合だけでなく、穴の個数によっても温度が違ってきます。カイロの袋には目に見えない空気穴があって、その穴の量を調整することで温度を変えることができるんです。空気穴を多くすればそのぶんだけ酸化の反応が速くなるので温度が高くなる。配合量と空気の供給量をコントロールすることで、一定の温度を維持することができる。これって「カイロメーカーでないとできない」と思っています。
土肥: カイロがなぜ発熱するのか――その化学式がありますよね。Fe+4分の3……。いまの商品も基本的な構造は同じなのでしょうか?
橋間: 同じですね。ただ、メーカーによって、どんな鉄を使っているのか、どんな水を使っているのか、どんなバーミキュライト(土壌改良用の土)を使っているのか、などが違うんです。
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