なぜ日本のカイロが、中国で売れているのか:水曜インタビュー劇場(暖公演)(4/7 ページ)
小林製薬グループの使い捨てカイロが中国で売れている。2003年に進出したが、当時、現地でカイロを使っている人はほとんどいなかった。にもかかわらず、どうやって市場をつくっていったのか。担当者に話を聞いたところ……。
売り上げ、前年比10%増の秘密
土肥: 「他社のカイロと違うんだー。当社の商品は一定の温度で長く続くんだー」とアピールしても、やはり価格差がかなりある。6分の1の価格なので、かなり苦戦しているのではないでしょうか?
森田: ご指摘の通り、商品の良さをアピールしていたのですが、価格勝負で苦戦していました。ただ、2015年にパッケージを変えたんですよね。それまで女性のイラストだったのですが、女性の写真にしました。結果、売り上げは前年比で10%ほど伸びました。
土肥: え、それだけで? ちょっと信じられません。
森田: 現場で働いている私たちもここまで売れるとは思っていませんでした。なぜ、前年比で10%ほど伸ばすことができたのか。当社の商品名は「暖宝宝」(ヌァンバオバオ)というのですが、他社にもよく似たネーミング、よく似たデザインの商品がありました。ということもあって、当社の商品が埋もれていたのかもしれません。
ただ、イラストから写真にして違いを明確にすることができたので、消費者も「あ、これこれ」といった感じで購入していただいているのではないでしょうか。
土肥: ふむ。パッケージを変えたら、売り上げが伸びた。ただ、他社も「じゃあ、ウチもイラストから実写で」と追いかけてくるかもしれません。そうなると、また消費者が“迷子”になってしまいそうな。「えーっと、いつも買っていた商品はどれだったっけな」といった具合に。こうした懸念はないでしょうか?
森田: 他社がどのような動きをしてくるのか。その出方によって対応は異なるので、現時点では何とも言えません。ただ、同じようなパッケージデザインを出されてから動いていては遅い。常に、先手先手で新しい何かを提案していければ。
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