なぜ日本のカイロが、中国で売れているのか:水曜インタビュー劇場(暖公演)(7/7 ページ)
小林製薬グループの使い捨てカイロが中国で売れている。2003年に進出したが、当時、現地でカイロを使っている人はほとんどいなかった。にもかかわらず、どうやって市場をつくっていったのか。担当者に話を聞いたところ……。
次世代型のカイロ
土肥: 桐灰化学の中村社長がこのようなことをおっしゃっていました。「カイロ市場のさらなる成長のためにこれまでの常識を覆す技術革新が必要。(中略)これまでのカイロにとどまらない新しい温熱技術を追求していく」と。さらに「鉄粉を酸化させて発熱させる現在のカイロとは全く違うメカニズムの、いわば“次世代カイロ”を実現させたい」とも言っていました。もう少し詳しく教えていただけますか。現場ではどんなモノを開発しているのでしょうか?
橋間: まだ開発段階なので詳しいことはお話できないのですが……。
土肥: そこをなんとか。
橋間: 例えば、薄着にも対応できるようにものすごく薄いモノだったり、いまの形状とは違うモノだったり。使用シーンに応じて、より適切なモノを提案できればなあと。こうした回答でよいですかね。
土肥: もう少し。
橋間: 技術ありきの話なので、現段階ではなかなか申し上げにくいのですが……。いまのような暖をとるだけのカイロではなくて、例えば「健康用のカイロ」。健康を維持するためにより適したモノを開発できればいいなあと。
土肥: 社長は「現在のカイロとは全く違うメカニズムの……」とおっしゃっていましたが、どういう意味でしょうか? カイロが発熱する仕組みは、鉄が空気中の酸素と反応して酸化鉄(水酸化第二鉄)になって……でしたよね。化学式で示すと、Fe+4分の3 O2……。この化学式でずっとカイロをつくってきたわけですが、新しい化学式で発熱させる?
橋間: 繰り返しになりますが、現在は開発途中の段階でなんとも言えません。ただ、新しい化学式を使って、新商品の開発を進めています。
土肥: おお、それは楽しみですね。どんな化学式を使うのか。それも楽しみですが、これまでとは違った温もりを感じられそうで。もしその商品が開発できてヒットすると、懐が“ホクホク”しそうですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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