インタビュー
なぜ日本のカイロが、中国で売れているのか:水曜インタビュー劇場(暖公演)(6/7 ページ)
小林製薬グループの使い捨てカイロが中国で売れている。2003年に進出したが、当時、現地でカイロを使っている人はほとんどいなかった。にもかかわらず、どうやって市場をつくっていったのか。担当者に話を聞いたところ……。
「2元カイロ」は撤退
土肥: ここまで中国でカイロが好調な理由を中心に聞いてきましたが、失敗したケースはなかったのでしょうか? 実はこんな商品は苦戦したとか。
森田: 2012年9月、内陸部の都市向けに、手に取りやすい価格設定のモノを発売しました。価格は2元(約32円)。カイロのサイズを小さくして、保温時間を短くして。3元カイロの簡易版のような位置付けで販売したのですが、かなり苦戦しまして……2シーズンで撤退しました。
土肥: なぜ売れなかったのですか?
森田: 商品開発の前に何度も市場調査を行いました。消費者から「低価格の商品が欲しい」といった声を受けてつくったので、「これは、絶対にいける!」「売れるはず!」と思っていました。ただ、お客さんの気持ちというのは難しいですね。実際に発売したところ「中途半端」という声が多かったんです。「2元だったら買わない。だったら、0.5元のカイロを買う」と。
土肥: カイロって商品の特徴を出すのが難しいと思うんです。スーパーなどで山積みに販売されていたら、ブランド名を見ずに「安いモノでいいや」という人も多そうなので、3元よりも2元カイロのほうが売れそうな気もするのですが。
森田: 中国の方もモノを見る目がどんどん厳しくなっているのではないでしょうか。品質の高い商品を選んで購入する――という人が増えているのかもしれません。というわけで、いまでは低価格の商品を扱っていません。
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