新生湖池屋の“競合を見ない”戦略とは?:ポテチ老舗の変革(2/2 ページ)
ポテトチップスの老舗メーカーである湖池屋が、経営体制やCIロゴマークなどを刷新して再スタートを切った。従来とは異なるポジショニングを作っていくというが、一体どういうことだろうか――。
その第一弾として発表したのが、「KOIKEYA PRIDE POTATO」(プライドポテト)というブランド商品だ。特徴は日本産のじゃがいもを100%使用し、プレミアム感ある素材を使用すること。2017年2月に「秘伝濃厚のり塩」「松茸香る極みだし塩」「魅惑の炙り和牛」を発売する。例えば、松茸香る極みだし塩は、日高産昆布と焼津産かつお節の旨味に松茸の風味を加え、さらに焼塩、藻塩、平釜炊き塩の3種類をブレンドするほどのこだわりようだ。
その後も、1粒に3億個以上の乳酸菌を配合した「乳酸菌ポリンキー」や、高級感あるデザインをパッケージにした「ドンタコス ひとくちDELI」など、プレミアム志向の商品を続々と投入していく予定である。
このような戦略によって目指すのはフォロワーからの脱却だ。これまで湖池屋はカルビーをはじめとする競合他社の動きを追いかけ、主にスナック菓子が好きな子どもや若者に向けてコモディティ商品を提供してきた。今後はこれまであまり手付かずだった50代以上の大人や女性をメインターゲットに、健康や日本品質などを重視した付加価値の高い商品を開発することで、結果的に利益幅を広げていきたい考えである。
「もう競合を見ない。リベートだけの商売はやめて原点に戻り、まったく違うポジションを作る。それが新生湖池屋の目指すべき姿だ」(佐藤社長)
新たな戦略を推進することで、現状で337億5000万円の売上高(2017年6月期通期予想)を、2020年度には500億円にまで引き上げる計画だ。
老舗ポテトチップスメーカーの快進撃に注目が集まる。
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