模倣店が増えても、QBハウスも増えるワケ:水曜インタビュー劇場(散髪公演)(4/6 ページ)
ヘアカット専門店「QBハウス」が、海外で伸びている。来店客数・店舗数をみると、この10年で10倍に。ライバル店も増えている中で、なぜQBハウスは急成長しているのか。海外事業の担当者に話を聞いたところ……。
離職率の問題
土肥: このほか海外で運営する上で、大変なことはないですか?
松本: 離職率が高いことですね。日本の場合、会社に就職すると長く働く傾向がありますが、海外の場合は違う。すぐに転職する人が多いんですよね。当社が海外展開を始めたころ、1年以内に退職する人は50%ほどでした。
土肥: そ、そんなに!
松本: 台湾に進出してから5年が経っていないので、離職率はまだちょっと高めなのですが、その他の国は低下しています。シンガポールでは10%ほど、香港では20%ほどに。
土肥: なぜそれほど離職率を低くすることができたのでしょうか?
松本: いくつか理由があると思うのですが、そのひとつに「安定している」ことがあるのかもしれません。現地で営業を始めてから10年以上経っていること、店舗数が増えていること、といった背景もあるかもしれませんが、自分の未来を想像できるからかもしれません。
土肥: 自分の未来を想像できる? どういう意味でしょうか?
松本: 理美容業界って、安定して働くのが難しいんですよね。日本でも海外でもフルコミッション(完全歩合制)を導入しているところが多くて、スタイリストにとって生活が不安定になりがちなんです。もちろん、指名をたくさん取れる人にとっては収入が安定しますが、そうでない人にとっては厳しくなる。
さらに厳しい話をすると、50代以上になると指名を取るのが難しくなるんです。「若い人に自分の髪をカットしてもらいたい」という人が多いので、どうしても年配の人の指名が少なくなる。そうなると生活が不安定になるので、この業界を去っていく……というケースも少なくありません。
土肥: 特にオシャレな美容院には、年配の人はほとんどいないイメージがあります。そうした人はどこで働いているのかなあ? と思っていました。実際、ある調査によると、男性スタイリスト(国内)は20〜34歳までで約9割を占め、35歳以上は12%、40歳以上となると6%しかいません。
松本: 当社の場合、30代までが54.9%、40代以上が44.1%ですね。ちなみに、給与は業界平均よりも高くて、残業代は1分単位で支払われます。
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