組織文化の「10原則」とは?:企業はどうあるべきか(10/11 ページ)
日本企業にとって、企業買収、新規事業立ち上げ、大きく変化する市場などに対応する場合、単なるビジネス戦略上の打ち手だけでなく、「組織文化」についても検討の必要性が高まっている。そのような場合に、どのようなアプローチを検討するべきだろうか?
8. 急速に伝播するよう、組織横断的な方法を採用する
トップダウンであれボトムアップであれ、アイデアは組織の各部署、機能を横断してウイルスのように拡散する。アイデアを広める強力な方法の1つとして、ソーシャルメディアを経由するというのがある。すなわち、経営陣のみならず、原則4で述べた信頼できる非公式リーダーのブログや、フェイスブックまたはリンクトインへの投稿、ツイートを利用するのである。
今では、情報やニュース、音楽を広める際に、ソーシャルメディアの方が従来の流通方法よりも効果的であるという考え方が定着している。同じことが重要な行動についても言える。人は、多くの場合、「身近なところでのやり方」に対する変化の方が受け入れやすいのだが、特に、そうした変化について、友人や同僚、仲間などから勧められた場合、あるいは、そうした人たちと変化を共有することになる場合はなおさらである。このような信頼できるソーシャルな証拠の方が、何かを売ることを仕事にしている誰かの意見よりも説得力がある。
コンテンツを急速に広める技が存在するように、行動を急速に広める術も存在している。例えば、いくつかの状況において成功を収めたモデルでは、会社が最初に、3つか4つの異なる部署で、慎重に選んだ12〜15人の非公式リーダーで構成されたいくつかのグループを結成する。数週間後、非公式リーダーのグループをさらに10〜15結成し、すべての事業単位に配置する。約3カ月を経て、既存のグループに新しいメンバーを加えて規模を拡大するよう促す。
さらに3〜6カ月経過すると、これらのグループは自主性が高まり、自分たちの規模の拡大をコントロールできるようになる。その間に会社は、学習したことや洞察を共有できるよう、グループ間のつながりを助長する。行動が広まるに伴って、会社のリーダーたちは、同僚やリーダーシップについて認識するだけでなく、業績の向上についても目を向けるようになるのである。
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