組織文化の「10原則」とは?:企業はどうあるべきか(9/11 ページ)
日本企業にとって、企業買収、新規事業立ち上げ、大きく変化する市場などに対応する場合、単なるビジネス戦略上の打ち手だけでなく、「組織文化」についても検討の必要性が高まっている。そのような場合に、どのようなアプローチを検討するべきだろうか?
7. 速やかに効果を実証する
残念ながら、現代は注目が長続きしない時代と言える。このことは、人々によるメディアの消費習慣同様、組織文化にも当てはまる。人目を引くような新しいイニシアティブや取り組みについて聞いたものの、数カ月たっても何の動きもなかった場合、人々の心は離れ、皮肉な見方すらするようになるだろう。だからこそ、文化的な取り組みがビジネスの結果に及ぼす影響を、できるだけ早く示すことが極めて重要なのである。
そのための効果的な方法の1つに、パフォーマンス的な要素をとり入れ人目を引くようなパイロットプロジェクトを立ち上げるというわけだ。パイロットプロジェクトは、評価や測定が可能な具体的な行動を紹介する比較的リスクの低い取り組みである。パイロットでは、望まれる効果、使用した戦術、採用される具体的な測定基準を事前に定義した「ダッシュボード」を活用することが多い。
ベル・カナダが最前線で新しい行動を活用して、顧客サービスと収益性を改善する方法を探っていたとき、当初、リーダークラスの人たちの間では、信じる人よりも懐疑的な見方をする人の方が多かった。そのような戦術が機能することを示す数値的証拠が全く存在しなかったからである。
そこで、CEOのマイケル・サビアは、トロント近郊の販売拠点でパイロットテストを実施することを決めた。テストを請け負った業者は、8カ月間というタイトなスケジュールにこだわることなく、行動の変化や顧客の反応、実際の売り上げ、マージン実績を測定する現実的な方法を構築した。それらすべてでプラスの結果を出すことができた。例えば、小売店の顧客満足度は29%上昇し、コールセンターでは、電話1回あたりの収益が31%増加した。その結果続けて、会社は、こうした取り組みの他の地域の最前線や、機能、事業への横展開を加速させることができた。
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