組織文化の「10原則」とは?:企業はどうあるべきか(8/11 ページ)
日本企業にとって、企業買収、新規事業立ち上げ、大きく変化する市場などに対応する場合、単なるビジネス戦略上の打ち手だけでなく、「組織文化」についても検討の必要性が高まっている。そのような場合に、どのようなアプローチを検討するべきだろうか?
6. 行動をビジネスの目的につなげる
感情やモチベーション、価値観はいずれも強力な文化に不可欠な要素であるが、これらについて話し合う場合、その内容は、抽象的な概念に陥りがちである。その結果、市場で成功するには何が必要かという主題から遠く離れてしまうことがある。多くの従業員が、アドバイスをどうすれば実際に自分の仕事に反映させられるのだろうかと疑問に思い、文化に焦点を当てたタウン・ホール・ミーティングや価値観についての議論の場を避けてしまう。
このような断絶を回避するには、文化的介入が業績や成果の改善にどのようにつながるかを示すことのできる、明確に定義された具体例を提示しなければならない。また、特に、企業の業績の改善を目指し、時間の経過に伴ってその成果を測定できるような行動を選ぶことが必要である。
石油会社がある産業設備のメンテナンスコストの削減に乗り出したことで、このようなアプローチの重要性が浮き彫りになった。クリティカルフューには、エンパワメントや正しい意思決定が含まれていた。同社のエグゼンプラー(例を示して人を引っ張る従業員)の一人が、働く人たちに対してコストを可視化することが賢明な手段になると判断した。
そこで、彼は、機械設備のさまざまな部品に値札をつけた。これらの値札は、設備を修理するか交換するかの決定にかかわる行動の変化を動機づけるきっかけとなった。労働者とマネジャーが、高価な設備については交換よりも修理を推奨するようになったのである。コスト削減の実現を従業員が確認し、会社は高く評価してこれを公表した。
このような行動は、焦点と考え方の変化を引き起こした。冬にファンが機械を冷却していることにある従業員が気付いたとき、その従業員は、声を上げて、機械の冷却が必要か否かを尋ねる権限が与えられていると感じたのである。結局、冷却の必要はないということになり、その結果、会社は年間75万USドルの電力料金を節約することができた。
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