組織文化の「10原則」とは?:企業はどうあるべきか(7/11 ページ)
日本企業にとって、企業買収、新規事業立ち上げ、大きく変化する市場などに対応する場合、単なるビジネス戦略上の打ち手だけでなく、「組織文化」についても検討の必要性が高まっている。そのような場合に、どのようなアプローチを検討するべきだろうか?
5. 公式リーダーに責任逃れをさせない
多くの組織は、文化については人事部の専門家に任せきりで、他の部署から見えないようにしてしまう傾向がある。しかし、望ましい行動を保護、擁護し、個人の感情に活力を与え、文化の整合性を強化するには、会社のあらゆる部署・領域のリーダーの存在が重要となる。感情的コミットメントを発信することで、他者が追随する雰囲気が生まれる。
組織が広めようとする文化と公式リーダーが追随しようとする文化の間に断絶があることに社員が気付けば、社員の心はあっという間に明確に提示された文化から離れ、上の人たちの行動を単に模倣するだけになってしまうだろう。トップの地位にある人は、自身が望む変化をはっきりと示さなければならない。ここでも、クリティカルフューがかかわっている。
一握りのリーダーにふさわしい人たちが一丸となってプロセスを開始しなければならないのである。ジム・ロジャーズがインディアナ州フォートウェインにあるGEモーターズのCEOを務めていたとき、彼はいら立っていた。というのも、15人以上のリーダーで構成されたシニア・リーダー・グループが、「真のチーム」として1つになって機能することがほとんどなかったからである。
ジョン・カッツェンバックとダグラス・K・スミスが『「高業績チーム」の知恵:企業を革新する自己実現型組織』(ハーバード・ビジネススクール・プレス、1993)の中で説明しているように、「真のチーム」は高いレベルの感情的コミットメントを必要とする。また、組織の地位にしばられず適材適所にメンバー間でリーダーの役割交代が迅速に行われる。共同作業のクオリティーに関しては、互いに責任を負う。
興味深いことに、GEモーターズでは、シニア・リーダー・グループのメンバーが大人数ではない個別の事業単位や機能の運営では、真のチームとして能力を発揮する場面がよく見られていた。そこで、ロジャーズは、彼らを3人または4人のメンバーから成るサブチームに分けることで、より大きなグループが直面する特定の組織横断的な問題に対処するという方法を採用することを決意したのである。やがて、新たな問題に合わせてサブグループの組み換えを行うようになった。さまざまな形態のサブグループに参加することで、エグゼクティブたちの間に仲間意識が生まれ、このことが、グループ全体としての効果性の向上につながった。
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