組織文化の「10原則」とは?:企業はどうあるべきか(2/11 ページ)
日本企業にとって、企業買収、新規事業立ち上げ、大きく変化する市場などに対応する場合、単なるビジネス戦略上の打ち手だけでなく、「組織文化」についても検討の必要性が高まっている。そのような場合に、どのようなアプローチを検討するべきだろうか?
標語のように目に見えるものに対して、要となる行動(他の行動の引き金となる反復的行為で、「はっきりと目に見えるもの」、「見えないもの」の両方がある)、考え方(広く共有される姿勢や信念だが、もっぱら目に見えないもののみ)。
これらの中で、真の変化の最も強力な決定要因となるのは「行動」である。実際に人が何をするかは、人が何を言うかや何を信じているかよりもはるかに重要だ。そこで、自分が置かれた組織からより多くのプラスの影響を引き出すには、「最も重要な行動」を変化させる取り組みから始めるのが望ましい。そうすれば、マインドセットもおのずと変わっていくだろう。その積み重ねとして、変化した行動パターンや習慣がより良い結果を生むようになるだろう。
文化を変えることがそれほどまでに難しいのであれば、なぜ私たちはわざわざそんなことに挑戦しなければならないのだろうか? それは現在の組織文化には、感情的活力や影響力の宝庫と言えるものがいくつか存在しているからである。そうした宝庫を活用するエグゼクティブは、戦略上、経営上の必須課題への対応を大きく加速させることができる。プラスの文化力と戦略的優先事項が協調すれば、企業は人々の感情からエネルギーを引き出すことができる。この方法が、企業の競争力の、あるいは、失った優位性を取り戻そうとする動きを加速させる。
研究の結果、いくつかの具体的な文化的なアプローチを利用する企業、すなわち、非公式な感情も活用しつつ、行動に影響を与えようとする企業の方が、長続きする変化を実現できる確率が有意に高いことが判明している。Strategy&が2013年に行った、組織文化とチェンジマネジメントに関するグローバル調査では、文化的な要素を意図的に利用したと回答した企業のうち70%が、組織のプライドと感情的コミットメントにおいて持続可能な改善を達成したと述べている。これに対して、35%の企業が、てことして文化を利用することはなかったと回答した。
結果を保証するような魔法の公式や輝かしいアルゴリズム、数値方程式などは存在しないが、世界で最も成功した企業を含む数多くの企業を数十年にわたって研究し観察してきた結果、いくつかの貴重な洞察を集めることができた。以下の原則を採用することにより、あなたの組織は、組織文化を展開し改善しながら財務上、オペレーション上の成功可能性を高めるやり方を習得することができるだろう。
関連記事
- モーレツ社員こそ、働き方改革が必要だ
「電通鬼十則」が批判を浴びているが、「正直、どこが悪いんだろう」と思っているモーレツ社員は少なくない。働き方改革に乗り切れない社員たちに、“働きやすい企業”で知られるサイボウズはどのように対応したのか? - 技術革新は本当に長時間労働をなくすのか
残業の問題が生産性から来ているのだとすると、AI(人工知能)の普及はこの問題を一気に解決する救世主となるかもしれない。だがそのためには「時間」に対する考え方をもっと前向きに捉える必要がある……。 - 職員実施率は3% テレワーク推進の課題は?
官民挙げて働き方改革を推進する日本政府。民間ではテレワークなどに取り組む企業も増えてきたが、一方の官公庁の状況はどうだろうか? 総務省などがそれに関する実態調査結果を発表した。 - 人工知能に「仕事を奪われない」働き方はある?
リクルートワークス研究所が、日本の労働市場シミュレーションの結果を発表。ビジネスパーソンがキャリアを構築するための取り組み方を提案した。 - 「残業(長時間労働)は仕方ない」はもうやめよう
電通の新入社員が過労自殺するという事件が起こり、話題になっている。政府はいま「働き方改革」を進めて長時間労働の是正に取り組んでいるが、繰り返されてきたこの問題を本当に解決できるのだろうか。労働問題の専門家、常見陽平氏に話を聞いた。
© PwC. All rights reserved. PwC refers to the PwC network and/or one or more of its member firms, each of which is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details. Disclaimer: This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors.