「モーパラ」「鍋ぞう」ロングヒットの理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/3 ページ)
ワンダーテーブルが運営する鍋専門店の「モーパラ」と「鍋ぞう」。各店ともに年商1〜2億円を売るロングヒットを続けている。長寿商品を生み出す巧妙なビジネスモデルとは?
鍋専門店の大衆化を先導
庶民にとっては高級でなかなか手が出なかった鍋専門店。その大衆化を先導してきたのが、「モーモーパラダイス(以下、モーパラ)」とその系列の「鍋ぞう」である。いずれも、大手外食企業の一角、ワンダーテーブルが経営している。
モーパラは2000円、鍋ぞうは2400円で、しゃぶしゃぶ、すき焼きが食べ放題。飲み放題(1500円)を付けても4000円以内に収まる。客単価はモーパラで2500円、鍋ぞうで2800〜2900円となっており、リーズナブルな価格が魅力だ。モーパラ1号店(歌舞伎町店)が誕生した1993年以来、既に20年以上も経過しているが、各店ともに年商1〜2億円のロングヒットを続けている。
鍋ぞうはモーパラをブラッシュアップした業態として、04年に生まれた。誕生の背景はモーパラを初期のころから利用していた20代の顧客が、30代となってより良いサービスを求めるようになったニーズの変化にあるという。
鍋ぞうではドリンクバーや、野菜食べ放題(セルフサービス)を導入。肉の種類は牛肉、豚肉に加えて鶏肉も用意。スープの種類もモーパラより多く、現在は塩とんこつなど3種類が加わり、計5種類から2つを選べる。
さらに14年からは、野菜だけでなく、シメに食べるめんなどの具材やデザートも食べ放題の「野菜市場」を設置するなど、内容が拡充されている。
鍋ぞうはすべて首都圏の繁華街で23店にまで増え、新宿に4店、渋谷と池袋に各2店と、ターミナルの駅近くで強い支持を受けている。なお、海外では実際は鍋ぞうの業態であっても、ブランド名が浸透しているモーパラを名乗っている店が多い。国内でもモーパラの系列と分かるように、鍋ぞうの看板に「モーパラ」を併記するケースがあった。
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