出店加速! なぜ「鳥貴族」は“全品280円”でも成長できるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)
若者の酒離れ、居酒屋離れが強まっているといわれる中、その流れと逆行するように業績を伸ばしているのが「鳥貴族」だ。同店の成功の秘密を解説していく。
若者の酒離れ、居酒屋離れが強まっているといわれる中、その流れと逆行するように業績を伸ばしているのが「鳥貴族」だ。全品280円均一と、実に分かりやすい価格体系の焼鳥居酒屋を関東、関西、東海の駅前に479店を展開している。
目標として、オリンピックイヤーの2021年7月期に3大都市圏で1000店を掲げており、それに向かって旺盛な出店を加速している。1000店達成後は、海外に進出するとともに、全国に店舗網を広げて2000店を目指すとしている。
14年7月にジャスダックに新規上場すると、15年7月東証2部、今年4月東証1部へと一気に駆け上ってきた。今、乗りに乗っている成長企業の1つで、焼鳥業界首位である。
2015年7月期の売上高が186億5900万円(前期比127.7%)、営業利益が11億1800万円(同161.9%)、経常利益が10億8200万円(同130.2%)、当期純利益が5億8500万円(同142.7%)と3期連続で増収増益を達成している。
売上高の推移を見ていくと、13年7月期は128億6400万円であり、14年7月期は146億1600万円と順調に伸びている。
メインターゲットは20代〜30代のビジネスパーソン、学生。顧客の男女比は6対4で意外と女性が多い。顧客単価は2000円を少し切るくらいで、1日の営業時間中、客入りは2回転くらいする。若者を中心に、安く飲みたい人には圧倒的な支持を受けていて、池袋だけで9店、渋谷だけで8店が駅近辺に点在している。
現在鳥貴族は焼鳥最大のチェーンになっているが、焼鳥店にしてはずいぶんと風変りな店だ。まず、店の前に赤ちょうちんがぶら下がっていない。焼鳥店というとカウンター中心の狭い店が多いのに対して、鳥貴族はボックス席が圧倒的に多く、平均で40坪70席を有している。もちろん、ビールなどのドリンクを含めて“全品280円”もユニーク。
看板商品の「貴族焼」(ももとむねの2種類、味付けは各たれ、塩、スパイスの3種類)は通常の2倍はあろうかといういかにもお得な「じゃんぼ焼鳥」である。焼鳥を焼く火力は、多くの店が炭火を使おうとするのに対して電気。
なぜ、このやり方で成長できるのか。解説していきたい。
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