ホッチキスの「マックス」が手を広げた秘密:水曜インタビュー劇場(とじる公演)(1/6 ページ)
ホッチキスメーカーの「マックス」をご存じだろうか。「毎日のように使っているけれど、メーカー名なんていちいち確認しないよ」という人がいるかもしれないが、この会社……とじて、とじて、とじまくって売り上げを伸ばしてきたのだ。どいうことかというと……。
「ホッチキス針は古紙の再生紙工程で支障はありません」――。2016年12月、SNS上に掲載された1枚の写真がちょっとした騒動に。「ホッチキス針はそのまま捨ててもいいの? オレのいままでの苦労はなんだったんだ」「まさか箱に記載されていたなんて」といった驚きの声が広がったが、読者の中にも「なぜ気付かなかったのか」とびっくりされた人が多いはずだ。
子どものころからホッチキスを使ってきて、社会人になってからも書類をとじるのに利用している人が多いはずなのに、なぜこの文言に気付かなかったのか。個人的には「子どものころから使っていた」ので、何も考えずにホッチキスを使っているからではないかと推測している。例えば「書類をとじなければ」といったシーンで、机の引き出しからホッチキスを取り出し、書類をとじる。針がなくなければ、箱から取り出しセットする。ただ、それだけ。そこに、なんの疑問も生じないので、箱をじっくり見る人は少なかったのではないだろうか。
ということは、もうひとつの仮説が生まれてくる。ホッチキス本体や針の箱に「マックス」と書かれているが、「どんな会社なのか、よく分からない」「会社名も知らなかった」という人がいるかもしれない。また「ホッチキスをつくっている会社なんだから、三菱鉛筆やコクヨのような文具メーカーでしょ」と思われたかもしれない。しかし「マックス」と書かれたノートや鉛筆などは存在しないので、文具メーカーではない。では、どんな事業を手掛けているのか。世の中にあるさまざまなモノを「とじて」「とめて」きたことによって、会社をどんどん大きくしていったのだ。
「ん? 『とじて』『とめて』ってどういうこと?」と思われたかもしれないので、同社でホッチキス事業を担当している石川昇さんと、広報の冨宅(ふけ)真優子さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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