ロッテチョコ「紗々」が再び売れている理由:若い女性に人気(1/2 ページ)
ロッテが1995年から販売するチョコレート商品「紗々」が再び売り上げを伸ばしている。ロングセラーゆえんの消費者離れや競合商品の台頭などによって一時期は右肩下がりに。そこからどのように回復したのだろうか。
1995年9月。当時人気絶頂だった歌手の華原朋美さんをTVコマーシャルのイメージキャラクターに起用して大々的に新発売したチョコレート商品「紗々(さしゃ)」をご存じだろうか。
紗々は菓子メーカー大手・ロッテが毎年9〜3月に販売する秋・冬の季節限定商品。発売当時、国内では200円前後の板チョコが人気で、さまざまなメーカーの商品が乱立していたため、ロッテは差別化を図るために同価格帯のまったく新しい商品開発に乗り出す。こうして誕生した紗々は、線状のチョコレートを折り重ねたメッシュタイプのビジュアル、漢字を使った斬新なネーミング、食感の良さなどがウケて大ヒットになった。
勢いそのまま2000年代に突入したが、ロングセラー商品の宿命か、次第に消費者から「古いブランドの印象」を持たれるようになってしまった。毎年のようにパッケージデザインやシーズン2品目のフレーバーを変えるなどして常に新鮮さを維持しようとしていたが、抜本的な刷新と呼べるものではなく、消費者にはそれほど違いが認知されなかったという。
時を同じくして、競合メーカーの明治から「チップチョップ」や「ガルボボール」といった人気商品が生まれたことや、同じ季節限定商品の「メルティーキッス」が商品数を増加したことなどによって、紗々の存在感が希薄化した。販売数がずるずると右肩下がりとなる中、テレビ広告を打って一時的に売り上げを増加させるのが関の山だった。
2012年には販売実績が大きく落ち込み、もはや商品ブランドのテコ入れは避けられなかった。そこで大がかりなリニューアルを敢行。デザイナーに和紙造形専門の堀江エリ子氏を登用し、素材の本質を追求する見せ方に変えた。パッケージ全体を大人びたシックな色調にして統一感を出すとともに、2品目のフレーバーも、例えば「白緑抹茶」「茜いちご」のように日本の伝統的なイメージを打ち出した。さらに、これまでは「ほどける、とろける」という商品の味わいを示したキャッチコピーを、「つむぐ、織りなす」といったよりコンセプチュアルなものに変更した。
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