サントリー、地域限定「BOSS」拡大 東北などで今春:コーヒー焙煎工場新設も発表
サントリー食品インターナショナルは今春、缶コーヒー「BOSS」の地域限定3商品(東北・北海道・九州)を発売する。コーヒー飲料事業の競争力強化のため、コーヒー豆焙煎の新工場計画も発表した。
サントリー食品インターナショナルは2月20日、缶コーヒー「BOSS」の地域限定3商品を今春に発売すると発表した。東北・北海道・九州の3地域で、缶コーヒーの消費動向や消費者の嗜好を踏まえた限定商品を投入。市場活性化を図る。
BOSSシリーズの2016年の販売数量は前年比2%増の9320万ケース。発売以来、24年連続で増加している。25周年を迎える17年はさらに2%伸ばし、9500万ケースの販売を目指す。
さらなる成長のための施策としてエリアマーケティングを強化。全国1万人の嗜好調査によって各地域の味の嗜好性を分析し、地域限定商品を開発した。16年10月に発売した関西エリア限定商品に続き、3商品を投入する。
東北6県では3月21日に「ボス デミタスグランデ微糖」を発売する。東北では濃い味わいが好まれる傾向があり、デミタスタイプのコーヒー市場が大きいことに着目した。
4月4日には、北海道で「ボス 北海道オリジナルブレンド」、九州で「ボス スペシャルナインブレンド」をそれぞれ発売する。北海道ではコーヒーが強めの味わいや、大きめのサイズの250グラム缶が浸透していることから、それらを反映した商品に仕上げた。九州は、コーヒーが強く、甘さ控えめの味わいが好まれる傾向があることから、厳選した9カ国の豆をブレンドしてコーヒーの味わいを際立たせた。
2月20日に都内で開催した戦略説明会では、コーヒー飲料事業のさらなる競争力強化を目的に、コーヒー豆焙煎工場を新設する計画も発表した。神奈川県海老名市に焙煎豆の主力工場を新設し、18年夏に稼働させる。
現在は、同県厚木市の工場でコーヒー豆の焙煎加工や商品開発などを行っている。工場の新設によって、焙煎豆の生産能力を1.6倍に拡大する。
新工場の敷地面積は約9000平方メートル。生産能力は年間約1万4000トン。17年4月に着工する。焙煎工程でフレキシブルな温度制御ができるシステムを備えた高機能焙煎機を導入。社内向けの体験型セミナールームも併設する。
コーヒー飲料事業を担当する柳井慎一郎執行役員は「消費者の嗜好が変化するスピードがこれまでと違う。缶コーヒーを主軸としながらも、いろいろなチャレンジが必要。フレキシビリティ(柔軟性)を持つための先行投資だ」と説明した。
16年10月に発売した濃縮タイプのコーヒー「ボス ラテベース」は、家でカフェラテを飲む女性の需要を取り込み、好評だという。それを踏まえ、柳井氏は「(女性など)缶コーヒーを飲まない層を無視できなくなっている。4月には『缶コーヒーじゃないボス』の大型新商品を投入する」と語った。
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