「午後の紅茶」躍進を支えたマーケティング:年間5000万ケース突破(1/3 ページ)
2016年に発売30周年を迎えたキリン「午後の紅茶」。節目の年に、初の年間5000万ケースの販売を達成した。その飛躍を支えたマーケティング施策とは……。
食事やおやつ、休憩のお供として定番となっているキリン「午後の紅茶」。発売30周年の2016年は、過去最高の販売を達成。キリンの看板商品として、さらなる飛躍を遂げた。マーケティング施策でその飛躍を支えたのが、キリンビバレッジマーケティング部商品担当部長代理の星島義明さん。躍進につながった取り組みやその狙いについて聞いた。
紅茶飲料市場の拡大をけん引してきた午後の紅茶シリーズ。16年の販売数量は初めて5000万ケースを突破し、節目の年を彩った。
30年の歴史を振り返ると、常に成長を続けてきたわけではない。日本初のペットボトル容器の本格紅茶として販売を開始したのは1986年。同年に発売された「写ルンです」や「ドラゴンクエスト」などのヒット商品とともに、「午後ティー」の愛称でブームを巻き起こした。しかし、2000年代に入ると緑茶やブレンド茶などの無糖茶が台頭し、低迷。「甘い」「高カロリー」といったイメージを変える必要に迫られた。
そこで、新商品「エスプレッソティー」や「おいしい無糖」を投入し、新たな飲用スタイルを提案。それらがヒットして再成長した。10年以降、7年連続で前年を上回る販売を続けている。
初めてのマーケティング
星島さんは1999年に入社。以来、営業畑を歩み、コンビニ営業などを担当してキャリアを積んできた。ところが2016年4月、マーケティング部に配属。午後の紅茶のマーケティングチームを率いることになった。30周年を迎える重要なタイミングでマーケティングを任されることになり、「最初はびっくり。務まるだろうかと思った」そうだ。
午後の紅茶はキリンビバレッジの主力商品であり、社員にとっても特別なブランド。星島さんも「営業時代もずっと深く携わってきた商品。核となるブランド」という認識を持つ。マーケティングの仕事は初めてだったが、社内からの期待に応えるべく取り組むことになった。
マーケティングの仕事は、商品コンセプトの設定から販促まで多岐にわたる。「売れること」を目指し、開発段階から店頭に並ぶまで、全ての仕掛けに携わらなければならない。午後の紅茶は毎月新商品が出るブランドであることに加え、16年は30周年記念の企画もあった。必死に走りながら、盛りだくさんの取り組みに挑んできた。
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