スペインで、柴崎岳に何があったのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
CDテネリフェの医療チームから「不安障害」の可能性を指摘されたMFの柴崎岳が、復帰する見通しとなった。「柴崎はスペインリーグに強い興味をもっていた」と言われていたのに、なぜ体調を崩したのか。
“流浪のプレーヤー”から金言を
テネリフェは大西洋に浮かぶカナリア諸島に拠点を置いている。スペイン本土のイベリア半島からは南西に約1000キロ以上も離れており、アフリカ北西部のモロッコや西サハラのほうがはるかに近い。
そのカナリア諸島の7つの島の中で最大の人口を誇るテネリフェ島がテネリフェのホームグラウンド。年間を通じて温暖で美しい自然が島中にあふれかえっていることでリゾート地としても世界的に知られているが、こうした日本と大きくかけ離れた文化や環境の変化も24歳の真面目な青年にはもしかするとカルチャーショックになってしまったのかもしれない。欧州リーグに精通する日本人の代理人はテネリフェの事情について、こう説明する。
「テネリフェ島には日本人も多く住んでいないから日本の文化が恋しくなっても、なかなか触れる機会にめぐり会うことができない。今回はクラブ側から『柴崎の個人的理由』という配慮でテネリフェを離れ、バルセロナに行くことを許可されたが、これはあくまでも特別なケース。バルセロナには日本人が多く住んでいるので、仮に柴崎が自分の知人に会いたいと思っても、簡単に行くことはできない。
なぜならテネリフェからバルセロナまでは飛行機で3時間半もかかる。そこがこういう“僻地”のクラブは欧州の主要都市を本拠地とするビッググラブと大きく違うところであり、日本人選手にとっては辛いところ。多くの欧州主要都市には日本人がたくさん住んでいるからもし精神的に辛くなったとしても、その際は何かと助けてもらえる。スペイン語が堪能でなければ、溶け込むまでにはさすがに時間と労力を費やすことになる」
テネリフェの設立は1922年。以降、このクラブに加入した日本人プレーヤーは柴崎が初めてだ。奇しくも柴崎獲得のウワサがあったラス・パルマスもまたテネリフェと同じカナリア諸島のラス・パルマス・デ・グラン・カナリアが本拠地である。
このラス・パルマスには、過去に日本人プレーヤーが1人だけ在籍していた。2007年から2008年までプレーした元Jリーガーの福田健二氏(現引退)だ。
福田氏は海外5カ国で8つのクラブに在籍した、いわば“流浪のプレーヤー”。テネリフェとほぼ同じ環境下で、しかもリーグ公式戦を他クラブと戦うためにスペイン本土へのハードな移動を繰り返しながらもしっかり順応できていた福田氏の経験は柴崎にとっても参考になるかもしれない。何らかの形で福田氏にコンタクトを取り、金言を求めることもいいと思う。
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