SOMPOがデジタル人材育成講座 深刻化する人材不足に対応:日本発のビジネス促進へ
SOMPOホールディングスとデジタルハリウッドが、デジタルデータを活用できる人材を育成する社会人向け講座を4月に開講。ビッグデータや人工知能(AI)を活用した新規ビジネスを生み出す人材を育てることが狙いだ。
デジタルデータを分析し、活用できる人材「データサイエンティスト」を国内で育成する取り組みが始まった。損害保険ジャパン日本興亜などを傘下に抱えるSOMPOホールディングスは、IT人材育成事業のデジタルハリウッドと共同で、社会人向けのデータサイエンティスト養成講座「DATA SCIENCE BOOTCAMP(データサイエンスブートキャンプ)」を4月に開講する。ビッグデータや人工知能(AI)の活用技術が発展する一方で人材不足が深刻化していることから、即戦力人材の育成を急ぐ。
デジタル人材育成が急務に
健康や自動車の運転など、ライフスタイルに関わるさまざまなデータの収集・分析が可能になり、「リスクに備える」という保険業界の従来のビジネスモデルは変化に直面している。SOMPOホールディングスは、環境変化に対応し、データを活用したサービスを展開するためデジタル戦略を強化。2016年にはその拠点「SOMPO Digital Lab(デジタルラボ)」を東京と米シリコンバレーに新設した。
一方、プログラミングや分析の技術を持つ人材は不足している。同社によると、特に日本では実践的な分析訓練を受けた人材の数が少ないという。そこで、まずはデータを的確に分析し、ビジネスに役立てることができる人材の育成に注力する。
3月8日に開催した説明会で、楢崎浩一執行役員グループCDO(チーフデジタルオフィサー)は、「保険の先へ行く、真のサービス産業を実現するためには、デジタル変革が必要。最も重要なデータを扱える人材を一刻も早く育成する必要がある」と狙いを語った。
実践的なデータ活用ビジネスを学ぶ
講座では、SOMPOホールディングスの商用車から得る走行データや社員3000人のバイタルデータなどの実データを分析するカリキュラムを実施。また、データ活用ビジネスを手掛けるベンチャー経営者や研究者らによる指導が受けられる。11週間という短期間で、基礎的な操作から実践的なデータ分析、データ活用ビジネスの提案まで、集中的に指導する。
受講生として求める人材は、新規事業立ち上げや起業など、ビジネスの実務経験があり、データ活用に対する意欲がある人。新規ビジネスを提案する最終プレゼンテーションの優秀者は、SOMPOホールディングスがデータサイエンティストとして登用する可能性もあるという。
定員は25人。3月19日に受講申し込みを締め切り、書類審査を実施する。受講料は9万8000円(税別)だが、修了者には5万円の祝い金を支払う。デジタルハリウッドが運営するプログラミングスクール「G's ACADEMY TOKYO」の卒業生であれば、受講料は5万円(同)。
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