「少年の顔」を報じて何の意味があるのか WBCの捕球騒動:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
WBCの日本VS.キューバ戦でハプニングが起きた。ホームラン性の打球をキャッチした少年の顔写真が、複数の新聞社で報じられたのだ。ボールをキャッチしたことは許されることではないが、顔写真を報じる必要があったのか。米国の場合は……。
騒動を二度と繰り返さないように
バートマン事件はメディアやネットによる過剰反応の結果“犠牲者”が生まれてしまったケースとして、米国では今も反面教師とされている。今もメジャーリーグの各球場では熱心なファンがスタンドに飛んできた打球を取りに行く光景が見られるが、米国の各メディアはバートマン事件のような騒動を二度と繰り返さないようにその心がけを徹底している。
試合進行の妨げとなるようなファンの妨害行為が発生してしまった際、そのファンの顔を人権侵害につながる可能性があるとして極力映さない(写さない)ようにしている。メジャーリーグでは試合中、興奮の余りにスタンドからグラウンドにファンが乱入して来て中断したとしても、中継中のテレビ局はその模様を一切映さない。もちろん、それでもテレビ中継のライブ映像など処理できない場合が多々あってどうしても限界はある。必ずしも100%、それができないところに難しさもあるようだ。
しかしながら日本のメディアは今回の騒動において、数社の新聞社が少年ファンの顔が判別できる写真を翌日発行の紙面で掲載していた。これはとても残念なことだ。メディアの対応を見ても、やはりまだまだ日本は米国に遅れている。
今回発生した「WBC捕球騒動」は日本の報道のあり方、そしてネットによる中傷の恐ろしさについて再考すべき問題ではないだろうか。何らかの手立てで早急に整備を図らないと、今後も被害者は続出していく一方である。
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