「少年の顔」を報じて何の意味があるのか WBCの捕球騒動:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
WBCの日本VS.キューバ戦でハプニングが起きた。ホームラン性の打球をキャッチした少年の顔写真が、複数の新聞社で報じられたのだ。ボールをキャッチしたことは許されることではないが、顔写真を報じる必要があったのか。米国の場合は……。
米国でも捕球騒動が発生
海の向こうのメジャーリーグでも、ファンの捕球騒動は何度か発生している。代表的なのは「スティーブ・バートマン事件」と呼ばれるものだ。騒動が起こったのは2003年10月14日、シカゴ・カブスとフロリダ・マーリンズの間で争われたナショナルリーグ優勝決定シリーズ第6戦。3ー0で迎えた8回一死二塁、三塁側観客席から手を伸ばした男性ファンがファウルフライの飛球を弾き落とす形となり、捕球体勢だったカブスの左翼手モイゼス・アルーのプレーを妨害した。
捕球すれば二死となってカブスのリーグ制覇達成まで残り4つのアウトとなっていたはずが、このイニングはマーリンズに怒涛の8得点を奪われてまさかの逆転負け。しかも翌日の第7戦も敗れ、カブスは王手をかけながらリーグ制覇を逃した。
アルーの邪飛捕球を妨害した男こそ、カブスが58年ぶりのワールドシリーズ進出を逃した戦犯だとして新聞、テレビの各メディアが男性の顔写真や映像などをさかんに報じたため、その身元がネット上でシカゴ郊外に住む26歳(当時)の青年、スティーブ・バートマン氏と特定されてしまった。
この余波によってバートマン氏は嫌がらせを受けるようになったことで仕事を辞め、引っ越しを強いられるハメになっている。この騒動が当時大きな話題となり、バートマン氏にはさまざまなメディアから取材依頼があったものの本人はすべて断ったという。バートマン氏の近況は不明だが、「今は穏やかに生活している。ただし名前も変えて自分の過去と決別し、縁もゆかりもない場所で暮らさなければいけなくなってしまった」との情報もある。
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