「少年の顔」を報じて何の意味があるのか WBCの捕球騒動:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
WBCの日本VS.キューバ戦でハプニングが起きた。ホームラン性の打球をキャッチした少年の顔写真が、複数の新聞社で報じられたのだ。ボールをキャッチしたことは許されることではないが、顔写真を報じる必要があったのか。米国の場合は……。
まるで国賊のように扱われてしまった
少年ファンは球場警備員から厳重注意を受け、しばらくフードをかぶりながらスタンドでしょんぼりしていたという。もちろん捕球してしまったことはかばえないし、この行為が批判されること自体は仕方がない。しかし、その批判も「もう二度とするなよ」で打ち止めにし、いつまでも“祭り”状態にすることなく終わりにしなければいけなかった。しかも、この捕球騒動の後、侍ジャパンの打線が爆発して日本の勝利となったことで直接結果を左右せずに済んでいるのだ。
それでもプライベートまでさらけ出され、まるで国賊のように扱われてしまった少年はさすがにかわいそうだ。おそらく今ごろ、自らのプライバシーをズタズタにされてしまった真相を知って事の重大性を痛感しているはず。そのショックは、きっと計り知れないものとなっているに違いない。しかも大の大人ならともかく、まだ未成年。少年である。たとえ騒動が鎮静化してもネットに残された情報はそう簡単に消えることはなく、彼の心中に取り返しのつかない“心の傷”が残ってしまうことも非常に心配だ。
仮に情報が正しいのであれば、少年は純粋に野球が好きで少年野球チームに所属し、プロ野球選手たちに憧れを抱きながら仲間たちと地元のグラウンドでプレーしていたのだろう。今回の騒動がトラウマになってしまい、野球と距離を置くようになってしまったら非常に悲しいことだ。
当の山田も、この少年に対して「またグラブを持って応援に来てほしい。野球を嫌いにならないでほしい」と報道陣を通じてメッセージを送っている。粋な計らいだ。
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