不振だった「USJ」が急成長できた理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)
ハリウッド映画のテーマパークとして、2001年に誕生した「USJ」。14年には過去最高の来場者数1200万人を突破し、15年には東京ディズニーシーを抜いて1390万人を記録した。それまで不振だったUSJはなぜV字回復できたのか。
「映画の専門店」から「エンターテインメントのセレクトショップ」へ
森岡氏のミッションはテーマパークのコンセプトを「映画の専門店」から「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることだった。
その頃よく言われていたのは、USJは映画にこだわらなければTDLと差別化できなくなるという説だったが、森岡氏は「東京と大阪には交通費3万円の壁がある」と一蹴。商圏が違う関西で、すき間を狙うニッチ戦略を取るのは間違いだと強調した。
日本人がエンターテインメントを楽しむ際に、映画を見る確率は1割。それでは、残りの9割のチャンスを逃がしているわけで「アニメ」「ゲーム」「コンサート」「レストラン」――など、さまざまなエンターテインメントの要素を取り入れていかなければ、巨大なテーマパークは維持できないと森岡氏は主張した。
一般消費財メーカー、P&Gでヘアケア商品のマーケティングの専門家として研さんを積んできた森岡氏は、自ら無類のテーマパーク好きを公言するほどで、USJに入社する前から世界の主要なテーマパークを制覇。テーマパークで働いた経験こそなかったが、テーマパークをファンの目線で見ることができたのが、森岡氏のマーケティング手法がはまった成功要因だろう。
森岡氏は入社早々、幹部、ミドルを集めた会議でセレクトショップとしてのブランディング構築をぶち上げた。「USJは“映画の専門店”」という強いこだわりが社内にあったため、この社員の意識を変えることが最大の難関だったという。
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