中国人犯罪者はなぜQRコードを狙うのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
中国でQRコードの利用が爆発的に増えている。欧米ではさほど普及していないのに、なぜ中国で広まっているのか。そこには火付け役とも言えるIT企業の存在が見え隠れする。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
携帯やスマホを使う人なら、「QRコード」を知らない人はほとんどいないだろう。
QRコードを定義すると、四角形を縦横に並べたパターンで文字や数字などのデータを記録するコードを指す。「QR」は「クイック・レスポンス」の略。もともと工場での生産管理用だったものが一般に普及した日本生まれの技術である。
QRコードは、例えば連絡先の交換やWebサイトにアクセスする時などによく使われているが、最近日本では、埼玉県入間市が、徘徊(はいかい)などの問題を抱える認知症高齢者の爪に身元確認のためにQRコードのシールを付ける試みを始めた。これが人権問題だと賛否が巻き起こったりもしたが、2017年2月から福島県郡山市も導入を開始しており、今後も利用が広がる可能性がある。
そんなQRコードだが、なぜかお隣の中国で異常なほどの人気になっており、爆発的に普及している。どこに行ってもQRコードが使われており、中国企業も公式サイトのアドレス同様にQRコードを重要視しているくらいだ。
そしてあまりの普及ぶりに、いま中国ではQRコードを狙った犯罪「QR泥棒」が問題になっている。QRコードは欧米ではさほど普及していないのに、なぜ中国で広く受け入れられ、とんでもなく利用が広がっているのか。そこには火付け役とも言えるIT企業の存在が見え隠れする。
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