西友、牛カルビ肉を安価に販売 「毎日低価格」強化:モーっと成長目指す
西友が2017年の生鮮食品の戦略を発表。「どこにも負けない価格と確かな品質」という方針を継続。新たに、人気の高い牛カルビ肉を100グラム197円の低価格で投入する。
西友は3月27日、2017年の生鮮食品の戦略を発表した。米ウォルマート(Wal-Mart)傘下の総合スーパー(GMS)として、「どこにも負けない価格と確かな品質」というEDLP(Everyday Low Price、毎日低価格)方針を継続。新たに、人気の高い牛カルビ肉を100グラム197円の低価格で投入。売り上げと顧客満足度の向上を目指す。
西友は16年、「低価格で高品質な商品を提供する」という方針を強化し、新商品を投入。中でも9月に販売開始した、肉質の良さが売りの「アンガスビーフ」は好評といい、切り替え前と比べて40%売り上げがアップ。牛肉カテゴリー全体の売り上げ増をけん引しているという。
販売施策も強化した。米ウォルマートから「Alive@5」を取り入れ、国内全店に導入。毎日夕方の5時と7時に生鮮食品売り場の写真撮影を行うとともに、人員配置の最適化を図り、夕方ピーク時の売り場のコンディションを整える取り組みを徹底した。
その結果、生鮮食品の売り上げは前年比1.9%増。鮮度に対する評価も過去最高スコアを達成した。評価は16年9月からの伸びが顕著で、西友生鮮食品部バイス・プレジデントのウォーリー・ボッケル氏は「目に見える改善が進んでいる」という。
17年は16年の方針を継続し、最適化とシンプル化をより徹底して進める。具体的には、「お金も時間も節約したい」という客のニーズを満たす品ぞろえ強化、国内外からの調達強化とコスト構造の明確化、商品補充が容易な新什器(じゅうき)の導入などシンプルなオペレーションの推進を行う。
「コストを削減し、さらなる低価格化に向けて主要アイテムに投資するのがウォルマートの基本的な戦略。最適化とシンプル化によって、コスト削減だけではなく、従業員が接客により時間をかけられるなどの副次的効果も期待する」(ウォーリー氏)
3月28日から新たに投入するのは焼き肉用の「牛ばらカルビ」。100グラム197円の低価格で毎日提供する。牛カルビはアメリカ産牛肉輸入量のうち7割を占める人気部位で、消費者からの需要が高いが、外食産業がこぞって使用するため、小売りでは安定的に毎日低価格で取り扱うことが難しかった。
ウォーリー氏は「この人気部位を毎日低価格で販売できる理由は、ウォルマートの調達力、自社加工センターによる店舗への安定的な供給力があるから。アンガスビーフの成功を見て、供給側から販売力の高さを認められたことも大きい。この価格で安定的に手に入るというのは弊社のみ。かなり期待をしている」と自信を見せる。
肉以外では、2月末からバナナ、オレンジ、冷凍エビなどの生鮮21品目を値上げしない「プライスロック」を実施中。18年末までに、対15年比で生鮮食品の売り上げ2桁増を目指すという。
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