フジテレビと日本MS、AIで協業 自動翻訳で動画に字幕:クリエイターの世界発信支援
フジテレビと日本マイクロソフトが、AI分野で協業を発表。フジテレビの動画配信プラットフォーム「DREAM FACTORY」にAIの音声認識技術と自動翻訳技術を導入する。
フジテレビジョンと日本マイクロソフトは3月29日、人工知能(AI)の分野で協業すると発表した。視聴者体験サービスの推進が主な目的で、第1弾としてフジテレビの動画配信プラットフォーム「DREAM FACTORY」に日本マイクロソフトのAI技術群「Cognitive Services」を導入。音声認識技術と自動翻訳技術によって、動画内の音声を英語・中国語・スペイン語・フランス語に自動翻訳し、字幕を生成する機能を7月1日から提供開始する。
DREAM FACTORYは、「クリエイターの創出」をコンセプトに掲げ、フジテレビが1月に立ち上げた動画投稿サイト。一般ユーザーから歌・ダンス・楽器の演奏などを撮影した動画の投稿を受け付けており、投稿者は、動画を公式SNSで拡散するなどの支援が受けられる。投稿者の中から有望な人材を発掘し、テレビ番組などで起用する狙いがある。
フジテレビの大多亮常務は「2020年までに、世界で活躍するアーティストやクリエイター、パフォーマーを生むことが最終目標。日本人ユーザーの動画を海外に発信し、認知度を高めるためにAIによる自動翻訳の導入を決めた」と説明する。
日本マイクロソフトは、DREAM FACTORY上のコンテンツをAI技術開発のための研究材料として活用し、顔認知技術や映像モデレート技術など、今回は提供しない機能も含めて精度向上につなげる。
各技術が一定の水準に達した際は、顔認知技術によって動画内の登場人物を把握し、肖像権などの関係で出演できない人物にぼかしを入れる機能や、映像モデレート技術によって長編の動画の象徴的なシーンのみを抽出し、1分程度に要約する機能などを実装する可能性もあるという。
日本マイクロソフトの平野拓也社長は、「従来は手動で行っていた翻訳作業を大幅に効率化する当社のAI技術で、アーティストを目指す方を支援していきたい」と話す。「ゆくゆくは、今回パートナーシップを組んだフジテレビの番組制作にもAIを活用できるよう、発展に注力していきたい」(平野社長)という。
両社は今後、優秀なクリエイターを見いだすために賞金付きの動画コンテストを実施し、DREAM FACTORYの活性化を図るとしている。
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