ソフトバンクが「社内AI」で進める営業改革:Softbank Brainとは(3/3 ページ)
ソフトバンクは、IBMのコグニティブ・システム「Watson」をベースにした社内AI「Softbank Brain」を開発し、社員のサポートに生かしている。Brainはどのような機能を持ち、社員の業務効率化にどう役立っているのだろうか。
ログを収集し、回答の精度を高める
これまで説明してきた3つの機能において、法人営業部のメンバーとBrainが交わす会話は、全てクラウド上に記録されている。Brainに質問の傾向などを学習させることで、回答の精度を向上する仕組みだ。さらに現在、Brainは会話の終了後に「私の回答に満足しましたか?」とアンケートを表示する仕様になっており、満足度が低い場合は、開発チームが記録を調べ、正しい答えを再学習させる。Brainを成長させるために万全の体制を整えているのだ。
今後はソフトバンクショップにも導入予定
ソフトバンクは今後も、Brainの機能を拡充していく予定。現在は、総務部門で活用できるBrainを開発中だという。このBrainは、社員からの「社用PCが壊れた」「セキュリティカードを紛失した」などの問い合わせに対して、適切な手続きの方法を回答するもの。既存の3機能と同様、調べ物をする際に生じる時間と労力を削減することが目的だ。
また、今夏をメドに、携帯電話事業の最前線を担うソフトバンクショップにもBrainを導入する見込みだ。ソフトバンクショップでは、既に廃盤になった端末や、販売が終了したプランを長年使っている顧客から質問を受けることが多いそうだ。だが、それらの詳細を知らない若手スタッフが対応する際、その都度調べる必要が生じるため、顧客の待ち時間が長引いてしまうという。この課題を改善するため、歴代の端末とプランのデータをBrainに機械学習させ、スタッフが知りたい情報を瞬時に取得できるようにすることで、顧客満足度の向上につなげる狙いだ。
「自然言語を理解し、人間の意図を汲(く)んだ答えを提案してくれるBrainの発展に注力し、今後も社員の負担を軽減していきたいと考えています。1人でも多くの社員が、『Brainのおかげで時間が空いたから、新しいことにトライしてみよう』『Brain開発チームが便利な環境を設けてくれるから、もっと仕事を頑張ってみよう』と、モチベーションを上げてくれることを願っています」(藤長執行役員)
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