1000万円以下も 「ローコスト住宅」安さの理由:マネーの達人(3/3 ページ)
最近は「ローコスト住宅」と呼ばれる格安のビルダーが元気です。「本体価格750万円!」など、1000万円を切る金額の広告などで目を引きます。今回は、ローコスト住宅の安さのわけを紹介しましょう。
2.仕様を固定化・仕入れを共同化
多彩な仕様を用意すると打ち合わせに時間がかかるので、基本的に建物本体の仕様は一本化します。
建材の仕入れも同様です。全ての建材ではありませんが、まとまった量を複数の工務店で共同で仕入れることでローコストを実現している会社があります。
これもあるコンサルタント会社が主導して、そういう仕組みを整えているようです。
3.利益率の設定を下げる
そして、利益率については、実際には低めに設定されているようです。大手のハウスメーカーよりも、5〜10%ほど低く設定されているように感じます。
私が知っているローコスト住宅の会社は、値引き販売はあまりしないようです。それは、値引きできる余力があまりない状態で金額を提示しているということでもあります。
ローコストでも粗悪品ではない
私見ですが、完成した現場を見ると、大手のハウスメーカーやこだわりを持ってそれなりの金額で建てている工務店などの建物と比べると、少し安さを感じる面も否定はできません。しかし、「安かろう悪かろう」という内容でもないと感じます。
ローコスト住宅も、それなりにポリシーを持って建築しています。例えば、フラット35Sに標準で対応していたり、性能評価制度の耐震等級3を取得していたりします。長期優良住宅などの認定も受けたければ対応は可能なようです。
ローコスト住宅の考え方として、「良い物を安く提供する」ために無駄なことやモノは省く努力をしています。そして、こだわり派のお客さまには魅力的に見えないよう、あえて下品にも思えるほど低価格を前面に押し出してニーズがある人を集めています。こうすることで、ニーズの合わない人が多く集まってしまって営業マンの時間を無駄に使うことを避けられます。
ローコスト住宅の会社が狙っているのは、「家が持てれば良い」というこだわり派ではないお客さまなのです。(佐藤陽)
著者プロフィール:
佐藤陽
FPオフィスケルン 代表
住宅取得相談専門のFPとして住宅取得に伴う資金計画・住宅ローン相談、不動産購入に伴うさまざまな不安を解消するサポートを行っています。特に住宅ローンについては机上の相談だけではなく、融資申込〜融資実行までの実務サポートを行っています。15年間在籍したハウスメーカーでの年間300件超の住宅ローン業務の経験を生かし会社経営者や個人事業主など住宅ローン審査が厳しい方のローン付けも全面的にサポートしています。ケルンという事務所名は登山道の道しるべからもらっています。相談者の人生の道しるべを作るような仕事をしたいとの思いから付けました。
保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(2級)(AFP)/宅地建物取引士/建設業経理事務士
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