ミズノの作業用シューズが、実は売れている:新連載・あの会社のこの商品(2/4 ページ)
現場の作業者などが作業中に履くプロテクティブスニーカーを、ミズノが発売したところ、当初計画を上回る売れ行きを示している。意外とも思えるヒット商品は、どのようにして誕生したのか?
テニス、ソフトボール、ウォーキングのノウハウを活用
開発を担当した宮内章裕氏(グローバルフットウエアプロダクト本部 生産部 品質管理課 技師)も、「プロテクティブスニーカーのノウハウを持ち合わせていない代わりに、さまざまなスポーツシューズのいいとこ取りをして設計を進めていったところがあります」と振り返る。では、スポーツシューズのノウハウはどのように生かされているのだろうか?
それは例えば、メッシュ素材の使い方に表れている。メッシュ素材の採用には、足の負担を軽くする軽量化と同時に通気性を良くする目的があるが、オールマイティではベロ(甲が当たる部分)の中央部に、通気性のある構造を設けた。通常、ベロには中にスポンジなどを入れてクッション性を高めているが、これでは通気性が劣るため、クッション材を入れず、メッシュ素材だけの窓をつくった。宮内氏によれば、これはテニスシューズに用いていた手法だという。
また、トウをラバーで補強したが、これはソフトボールシューズのノウハウを生かした。「開発するに当たり、実際に使われたプロテクティブスニーカーを観察したところ、トウがボロボロになっているモノが目立ちました。トウの耐久性を高める必要性を感じたので、ラバーで補強し、減りにくく破れにくいモノにすることにしました」と宮内氏。使用環境によっては、履き始めて3カ月後には穴があいたり、ソールが剥(は)がれたりすり減っていたりするモノもあったほど。スポーツシューズでは考えられない傷み具合で、想像をはるかに超えていた。
さらには、ラスト(靴型)はウォーキングシューズのものをベースに開発。フィット感を向上させたほか、しゃがんで膝をついたときによく曲がるよう、ソール(靴底)の屈曲溝にもウォーキングシューズのデザインを生かした。
関連記事
- 売り場を減らしたのに、なぜ崎陽軒のシウマイはバカ売れしているのか
東京や新横浜で新幹線に乗ると、車内でビールを飲みながら「シウマイ」を食べているサラリーマンをよく目にする。崎陽軒の「シウマイ弁当」だ。駅弁市場は縮小しているのに、なぜシウマイ弁当は売れているのか。その理由を、同社の担当者に聞いたところ……。 - 「どうせ売れない」を覆した「もぎたて」大ヒットの理由
2016年に706万ケースを販売したアサヒビールの缶酎ハイ「もぎたて」。これまで、売れる酎ハイをなかなか生み出すことができなかった同社が、なぜ大ヒット商品を生み出せたのか。 - 居酒屋「塚田農場」の“弁当”が絶好調の理由
居酒屋「塚田農場」(エー・ピーカンパニー)の弁当が売れている――。居酒屋チェーンが弁当事業を手掛けて成功した例を過去に聞かないが、なぜ同社は成功しているのだろうか。 - イトーヨーカ堂の反撃は始まっている
大手GMS(総合スーパー)が軒並み業績不振だ。ただし、各社の置かれた状況は一律ではなく、起死回生の一手となるカードを持つ企業がいるのだ。それはイトーヨーカ堂である。 - 「コケても興収10億円」中国映画の急成長
「君の名は。」の中国展開が好調だったが、実は中国の映画産業は、年々成長を続けている。中国の映画産業に何が起こっているのか? 中国とビジネスをしていくうえでどんなことが必要とされるのか? 「君の名は。」の中国展開を担った柏口之宏代表取締役に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.