ミズノの作業用シューズが、実は売れている:新連載・あの会社のこの商品(3/4 ページ)
現場の作業者などが作業中に履くプロテクティブスニーカーを、ミズノが発売したところ、当初計画を上回る売れ行きを示している。意外とも思えるヒット商品は、どのようにして誕生したのか?
リピーターを獲得するため履き心地を重視
このほか、シューズにとって一番大切な履き心地に関しては、足に当たる履き口や中敷き、ベロをソフトにし、第一印象で「柔らかい」と思ってもらえるように工夫した。履き口は耐久性を考え人工皮革を使ったが、そのままだと固いので、ソフトになるような構造にした。「履き心地はリピーターを獲得するために重視しました」(稲岡氏)。
しかし、プロテクティブスニーカーは機能や履き心地だけでなく、JSAAが制定した安全規格を満たさなければならない。それまでのスポーツシューズの開発とは勝手が違い、手探りで進めざるを得なかった。「開発が6段階進んだと思っても失敗して7段下がったり、といったように、行ったり来たりを繰り返していました」と稲岡氏は振り返る。
稲岡氏は今でも、最初につくった試作品を持っているという。本人によれば、それは滑りやすいなど、あまりにもできが悪いとのこと。初めてつくった思い出深いモノであると同時に、原点を忘れないために今でも大事に持っているそうだ。
第1号の試作品を出発点に、試作品が完成すればさまざまな現場の作業者に履いてもらい検証。この繰り返しで耐久性や耐滑性などの不満点を洗い出し、一つずつ解決していった。
仕事道具ゆえにスポーツショップでは取り扱わず
発売後のオールマイティは順調に滑り出し、計画を上回る出荷を達成。初年度販売目標8万足の予定が、9万足に上方修正したほどである。初のプロテクティブスニーカーは、今のところうまくいっていると言っていい。
販路はホームセンターを中心に作業用品店やミズノの公式オンラインショップなど。仕事道具ということもあり、同社のシューズとしては珍しく、スポーツショップでは取り扱っていない。スポーツシューズのノウハウを開発に生かしたことや、何らかのスポーツで同社の製品を利用した経験がある人が多いことから、小売店からは大きく期待され、好調さを背景に、取扱店が拡大している。
ユーザーの多くは履き心地の良さを評価しているほか、トウの耐久性の高さを評価するユーザーも多いという。
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