物流市場、国内伸びる 人手不足対策は「スマート物流」:15年度は20兆4110億円
15年度の物流17業種総市場規模の推計は、前年比0.9%減の20兆4110億円。好調な国内では人手不足が社会問題化しており、「スマート物流」の変革の兆しがある――矢野経済研究所調べ。
矢野経済研究所が4月19日発表した国内宅配便など物流17業種の調査結果によると、15年度の総市場規模は、堅調な国内に対し海外が低迷し、前年比0.9%減の20兆4110億円にとどまった。長期的には拡大基調にあるが、人手不足などの社会問題があり、今後は「スマート物流」変革の兆しがあるという。
15年度の物流国内市場は、消費税増税の反動減から徐々に回復したことで堅調に推移。またネット通販を中心とした通信販売や、医薬品・医療機器分野、コンビニエンストアや食品スーパーなどに向けた低温食品分野の物流サービスが好調だった。一方、ここ数年海外需要がやや低迷していることが影響し、前年度実績を割り込んだ。
16年度も海外需要が低迷すると見られ、層市場規模は4.0%減の19兆5970億円を見込む。中国や東南アジアの経済成長の鈍化、欧州経済低迷の長期化、海運などの運賃市況(貨物と船腹の需給関係で変動する)低迷などの影響が大きいという。
17年度以降は緩やかな拡大基調を予測。東京オリンピック・パラリンピックに向けた内需により国内需要が堅調に推移し、17年度は20兆1755億円、18年度は20兆8475億円を見込む。
物流業界では人手不足が社会問題化し、今年に入り国内最大手の宅配業者ヤマト運輸の人手不足問題が顕在化した。矢野経済研究所は「今後はIoT(モノのインターネット化)やAI(人工知能)など活用した省力化・自動化といった部分的支援が一層進展し、人手に頼らないスマート物流に変革する兆しが見られる」と分析している。
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