業績好調! 日高屋の「ちょい飲み」が成功した理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)
ラーメンチェーン「熱烈中華食堂 日高屋」の業績が好調だ。特に近年は「ちょい飲み」ユーザーに支持されており、高収益の体質につながっている。
“屋台の代用”となる店を目指した
「吉野家」の吉呑み、「天丼 てんや」のてんや呑み、「ガスト」や「サイゼリヤ」のファミレス呑みは、こうしたお酒の飲まれ方の変化に対応して登場してきた。日高屋はこのちょい飲み戦略の先陣を切ってきたと言えるだろう。
また、日高屋の店舗は郊外のロードサイドにはほとんどなく、ほぼ駅前でしか見掛けない。もし、同じラーメンチェーンの「幸楽苑」のように、ロードサイドを主軸にしていたら、アルコール比率をここまで高めることはできなかっただろう。2000年代初頭より道路交通法が改正され、飲酒運転に対する規制が厳しくなっている。広い駐車場を持った郊外型居酒屋の成立が難しくなり、お酒を提供する飲食店の駅前立地が進んでいる。
駅前繁華街立地に対するこだわりは、創業者、神田正会長の「屋台の代用となる店をつくる」というポリシーによるものだ。1964年の東京オリンピックを機に非衛生的などといった理由で規制が強化され、消えゆく駅前の屋台の果たしてきた機能を、日高屋の店舗で再現できないかと取り組んできた。
神田会長は、駅前に立ち並んでいた屋台のラーメン店、おでんの店などが常に盛況だったことから、屋台と同様の役割が果たせる低価格の店なら景気に左右されず永続的に繁栄すると確信を持っていた。金融機関から「これからは車社会となるから、郊外のロードサイドにお店を出すのなら融資してもいい。駅前なら貸せない」と言われても、神田会長は頑として受け付けなかったそうだ。
ここで安易に妥協しなかったのが、日高屋のちょい飲みで高収益を確保するやり方につながった。ちょい飲みとは、屋台の手法の現代的な言い換えでもある。
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