日経が撤退しても、『四季報』が存続しているワケ:水曜インタビュー劇場(独自予想公演)(1/6 ページ)
会社情報誌『日経会社情報』が休刊し、今後は有料デジタルサービスに移行する。気になるのは最後の砦ともいえる『会社四季報』だ。ネットを使えば会社の決算情報は簡単に見ることができるのに、なぜ『四季報』は売れ続けているのか。
ロングセラー特集:
生まれては消えて、消えては生まれる――。スーパーやコンビニの棚を見ていると、慌ただしく商品が入れ替わっている中で、何十年も消費者から愛され続けているモノがある。その歴史を振り返ると、共通していることがあった。それは「業界初」というリスクを抱えながらも、世に商品を送り出したことだ。何もないところから、どのようにして市場をつくってきたのか。また、競合商品が登場する中で、なぜ生き残ることができたのか。その秘密に迫る。
1936年(昭和11年)、「2.26事件」の4カ月後に、いまも多くの人に支持されている会社情報誌が創刊した。東洋経済新報社の『会社四季報』(以下、四季報)である。
「書店に雑誌が並んでいるのは見たことはあるけれど、読んだことがないなあ」という人に、簡単にご説明しよう。『四季報』には上場企業のさまざまな情報が詰まっている。例えば、会社の仕事内容のほかに、儲(もう)かっているのか儲かっていないのか、お金はどのくらい持っているのか、社員の給料はどのくらいかなど。そうした情報を知りたいという読者は多く、毎年200万部以上売れている。
四季報はベストセラー&ロングセラーな雑誌であるが、2つの疑問を感じている人が多いはず。1つは、会社の情報なんてどこも同じなのに、なぜ四季報が売れているのか。もう1つは、インターネットを使えば決算情報なんて簡単に見ることができるのに、なぜいまも紙の雑誌を売っているのか。
最大のライバル『日経会社情報』(以下、会社情報)は、1979年に創刊。当初、「日経のブランド力、記者の数をもってすれば、『四季報』のシェアを奪うことができるはず」といった声もあったが、トップの牙城を崩すことはできなかった。そして、『会社情報』は2017年春に休刊。紙のメディアから撤退して、6月をメドに有料デジタルサービスに移行する。
両社とも上場会社にアンケートを送って、基本的な情報を収集する――。それなのに、なぜ勝敗がついたのか。その理由について、『四季報』編集長の石川正樹さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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