日本郵政、民営化後初の最終赤字へ 特損は4003億円:豪子会社の不振が原因(2/2 ページ)
日本郵政が、豪子会社トールの業績不振の影響で、4003億円の特別損失を計上したと発表。17年3月期通期では、郵政民営化以降初となる400億円の最終赤字に転落する見込み。今後はトールの人員を大幅に削減し、事業の立て直しを図る。
トールの経営はなぜ悪化した?
トールは当初、アジア・オセアニア地域の物流拠点を担い、新たな収益の柱となることが期待されていた。
しかし、鉄鉱石などの資源価格が下落し、オーストラリア国内全体が不況に陥った影響などで、トールの業績は悪化。買収完了時の14年6月期には約412億円だった営業利益が、17年3月期には約60億円まで落ち込む。
急激な業績悪化の原因について、長門社長は「トールは本来、100件以上のM&A(合併・買収)によって事業を拡大してきた企業。バックオフィスのシステムや社内制度が統一されていなかったため、不況によって弱みが一気に顕在化した。複数の事業部が取引先を取り合うなどの非効率な営業活動も存在していた」と分析する。
リスクある企業の買収に踏み切った経営判断については批判の声も出ているが、長門社長は「人のせいにするわけではないが、当時起用していたフィナンシャルアドバイザーからは特段の指摘は無かった」と釈明する。「ただ、意思決定が楽観的かつ甘かったことは事実。事態を重く受け止めている」という。
計2000人を人員削減
業績の立て直しに向け、日本郵政は17年1月〜3月にかけて、トールの経営層を中心に300人超の人員削減を実施。さらに、今年度中にも1700人超の正規職員を削減する計画だ。事業部も統合・簡素化し、業務効率の改善を進める。
長門社長は、「トールは引き続き、海外戦略の中核を担っていく。国内の物流事業は限界に達しているため、海外展開に注力するという方針は変えない」と話す。今後はトールと日本郵政の上層部が直接ミーティングを行う回数を増やすなどし、一層のガバナンス強化を図っていくとしている。
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