東芝が決算の監査を担当しているPwCあらた有限責任監査法人を変更する方針を固めたという一部報道に対し、東芝は4月26日、「そのような方針を固めたという事実はない」などとコメントした。
同日付の日本経済新聞によると、東芝は同監査法人の変更を決め、現在は利害関係のない準大手の監査法人を軸に後任を調整中という。上場廃止を避けるため、監査法人を変更して適正意見の獲得を目指すとしている。
東芝はITmedia ビジネスオンラインの取材に対し、「さまざまな選択肢を検討していることは事実だが、監査法人を変更するという方針を固めたという事実はない」(広報部)とコメント。後任の監査法人選びについても、「着手していない」と述べた。
一方、PwCあらた有限責任監査法人は、「顧客との契約に関する事項のため、コメントできる立場にない」(広報担当者)と回答した。
東芝とPwCあらたは、東芝の米子会社ウエスチングハウス(Westinghouse)が米原子力サービス会社を買収した際に存在したとされる、一部経営者からの「不適切なプレッシャー」の調査の必要性をめぐって対立。
PwCあらたは疑義が残るとして精査の必要性を主張した一方、東芝は「『不適切なプレッシャー』は財務諸表に影響を及ぼしていない」と主張。東芝は4月11日、同監査法人による承認を得ないまま、2016年4〜12月期の決算発表に踏み切っていた。
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