上司は部下に、どのような「質問」をすればいいのか:結果を引き出す(2/2 ページ)
「部下には成長してもらいたいのに、なかなか育ってくれない……」といった悩みを感じている上司も多いのでは。部下が仕事を結果を出すには、どのようにすればいいのか。
質問型コミュニケーション
まずは部下に興味や好意を持ちましょう。そして質問を積み重ねることで、部下の現状や欲求、課題を浮き彫りにします。部下の考えていることに共感したうえで質問し、アドバイスを与えていけば、部下は深く納得してくれます。上司からの質問によって、部下は自分なりの思いや考えを吐き出し、気持ちが整理されているからです。
そして部下の具体的な解決策までを共有し、部下自身が行動していくように促すのです。
こんな質問を中心にした会話法を「質問型コミュニケーション」といいます。
そもそも部下は問題の本質化や明確化を避ける傾向にあります。「上司からの叱責が怖い」「問題がハッキリすると、その解決のために動かざるを得ず、気持ちが億劫(おっくう)」。こうした部下の後向きな気持ちを質問によってあぶり出し、一緒になって解決していくというスタンスが必要なのです。
それらが理解できるようになれば、冒頭の上司はこのような質問の仕方に変化していきます。
上司: 例の仕事の進ちょくはどう?
部下: はい、進めてはいるんですけど、●●の部分がうまくいかないんですよね。
上司: なるほど。進めているんだね。どれぐらい進んだ?
部下: たいして進んでいないんですけど、□□ぐらいですね。
上司: □□だったら、立派だよ。ちゃん取り組んでくれているんだから。●●の部分がうまくいかないというのは? 具体的に聞かせてくれる?
部下: はい。……の状態なんです。私はそれに対していろいろやってみたんですが。
上司: なるほどね。どういうことをやったの?
部下: はい。例えば……。
このように、質問を重ねていくだけで、部下の反応は大きく違ってきます。部下の仕事に対するモチベーションはみるみる上がり、きっと結果も残してくれることでしょう。何より、上司の仕事は部下の育成です。上手に質問をして、一人でも多く、優秀な部下を育てていってください。
著者プロフィール:青木 毅(あおき・たけし)
株式会社リアライズ代表取締役。一般社団法人質問型コミュニケーション協会代表理事。米国人材教育会社代理店勤務時には、セールスマン1000名以上の中で、5年間の累計業績1位の実績。2002年に独立。2008年に質問型コミュニケーション(コーチング)を開発し、大阪府職員、大阪府警の要請を受けスタート。2008年、自身の営業ノウハウの質問型営業を開発。質問型営業のコンサルティングでは3カ月で実績を確実に上げると評判を得ている。2015年質問型コミュニケーション協会を設立。社内・一般向けに質問型コミュニケーションの普及をスタート。主な著書に『3か月でトップセールスになる 質問型営業最強フレーズ50』(ダイヤモンド社)、『仕事を円滑に進めるには、まず上司から部下に質問しなさい 最高の結果を引き出す「質問型コミュニケーション」』(カンゼン)など。
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