イチローは本当に衰えているのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
マイアミ・マーリンズに在籍するイチロー外野手のバットから快音がなかなか響き渡らない。一部メディアからは「イチロー限界説」が報じられているが、本当にそうなのか。マーリンズのマッティングリー監督によると……。
イチローが「壁」にぶち当たっている理由
日本球界のレジェンド・イチローがもしこのまま本当に急速な勢いで劣化してしまうとしたら、やはり悲しいし、残念のひと言だ。しかしながら筆者は、そうは思わない。
イチローは過去、さまざまな困難に直面しながらもきっちりと乗り越えてきた。何よりどんな境遇に追い込まれようとも自分の心には一切の甘えを生じさせず、厳しい局面とも向き合ってキッチリと対処していくのが「イチ流」だ。そのように自分を律し続けることでメジャーの大記録を塗り替えながら過去16シーズンの長きに渡って異国の地の世界トップリーグで突っ走ってきた。今回も必ずや乗り越え、再び我々を驚かせてくれると信じている。
いまイチローが「壁」にぶち当たっている理由もおおむね想像がつく。おそらく起用法であろう。イチローの立ち位置は2015年のマーリンズ移籍1年目から外野の4番手で、その扱いは変わらない。必然的に代打での出場が多くなっていることでイチローは試合中にベンチにいる際、いつ何時でもお呼びがかかってもいいように集中力を高めやすくするため、しっかりと準備を整えておかねばならないのだ。これは案外、イチローにとっては簡単なようで難しい。
スタメンで試合に出続けて攻守に渡る全力プレーを見せることこそが高いモチベーションの維持につながる――。シアトル・マリナーズ時代から、そのように考えていたイチローが、ここ数シーズンはベンチスタートを数多く強いられるようになった。そのころから内面に溜まり続けていたストレスが、今季に入っていよいよ加齢とともに抑え込み切れなくなって自分のプレーに急ブレーキをかけることにつながってしまっているのではないだろうか。
実際にイチロー自身も昨季のシーズン途中に米メディアに対して「やはり代打が難しい役回りであることは痛感している。スタメンで出て攻守の両面において、しっかりとプレーするほうが自分のリズムが保てる」と語っていたことがあった。紛れもない本音だろう。
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