東海道貨物支線の旅客列車運行計画はどうなった?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/6 ページ)
東海道本線の東京〜横浜間と並行する東海道貨物支線を貨客併用化する構想がある。協議会発足から約17年。まだ整備に着手されていない。この路線の進捗(しんちょく)はどうなっているのか。
粛々と調査中?“東海道貨物支線の貨客併用化”
“東海道貨物支線の貨客併用化”も、表立って動きが見られない路線の1つだ。13年に調査列車を走らせた時は新聞報道もあった。しかし、その後の動きが目立たない。実は、その後、年に1回のペースで予定ルートの「現地調査会」を実施している。粛々と「研さんを進めている」という状況だ。
17年3月末、東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会は新しいパンフレットを製作し、公式サイトで公開した。しかし、デザインは変わっても、内容は前作とほとんど変わっていない。協議会の発足から約17年もたつというのに、概算見積もりの数字もない。これでは費用対効果も算定できず、説得力に欠ける。
東海道貨物支線貨客併用化計画は、いま、どうなっているか。協議会事務局を置く神奈川県県土整備局都市部交通企画課に聞いた。その話の内容を記す前に、東海道貨物支線貨客併用化計画の検討ルートを紹介しよう。実は、私も誤解していた部分が2つある。
1つは用語だ。東海道貨物支線の“旅客化”ではなく、“貨客併用化”だ。京葉線のように、貨物線として計画、建設された路線を転用し“旅客線化”する計画ではない。武蔵野線のように貨物線として建設した路線を旅客列車も運行できるように改造する構想だ。“貨物列車を残す”を明確にするために貨客併用化という言葉を使っている。羽田空港再国際化のあとも国内線は存続しているし、旅客化でも良さそうだけど、貨物列車に対する配慮、遠慮が込められた感がある。
もう1つは、意外にも新線建設区間が長い。198号答申では“一部を新線とし”とある。添えられた路線略図は新線区間が明示されていない。図をよく見て、実際の路線と照らし合わせると分かるが、総延長約33キロメートルのうち、約15キロメートルが新線建設区間となる。一部というより、約半分が新線といえる。
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