カウンセラーが教えるアドラー流“捉え方術”:6月病特集(2/4 ページ)
管理職向けにアドラー心理学を応用した教育研修を行うカウンセラーの岩井俊憲さんに、ストレスをかわす“捉え方術”を聞いた。
「自分の現状はその程度」という捉え方
――この春、管理職に昇進したけれど慣れない仕事でストレスを抱えている人も多いかと思います。どのような考え方(捉え方)が大切になるのでしょうか?
岩井: アドラー心理学では、「適応障害」「うつ病」といった現象は「失望」や「落たん」によって起こると説明しています。それは自分の「現状(の能力)」に対して「理想・目標」が高すぎた、あるいは、現状が低すぎたために起こるのですが、私たちは常にこういうギャップに直面します。
しかし、ここで環境のせいにしてはいけません。私がよく言うのは、自分のレベルがそこまで高くないにもかかわらず、勘違いをして勝手に理想・目標を高くしてしまっている自分も悪いということです。
例えば、管理職に昇進したばかりの層に多い「昇進うつ」というのがあります。「プレイヤー時代に活躍できていたのだから、マネジャーとしても活躍できるはずだ」と、自分の現状とは程遠い期待を勝手に抱くことで、ギャップに苦しんでしまうケースがよく見られるのです。
このようなギャップを感じたとき、「自分の実力はこんなもんじゃない。本当はもっとできるはず」と無理に見栄を張らないことが大切です。まずは「そもそも、現状の自分はその程度なのだ」と受け入れてください。徐々に「理想」に近づくための行動を起こせばいいのです。
「理想通りではない、自分の現状」を受け入れることで行動が大きく変わります。そうしなければ、組織の中で孤立し、ますます状況が悪くなってしまいます。それは、周囲からフィードバックをもらう謙虚さを持つことができなくなるからです。
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