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海外の富裕層が押しかける「診療所」をほとんどの日本人が知らない理由:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
関西国際空港の近くにある病院を目指して、わざわざ海外からやって来る人が増えている。病院名は、IGTクリニック。がん治療専門のクリニックに、なぜ外国人の患者が増えているのか。その理由は……。
動脈塞栓術は問題をはらんだ治療法
なんて調子で動脈塞栓術を持ち上げるような話ばかりを聞いていると、おそらくこんな疑念が浮かぶことだろう。
「そんなに素晴らしい治療法なら日本中に普及してもっと知られているはずだ。国立がん研究センターや有名な大学病院で当たり前のように行なわれていないということは、きっとなにか問題がある治療法に違いない」
その疑念はある意味で正しい。この動脈塞栓術は患者の負担も少なくて、効果もあるのだが、実はいくつかの大きな「問題」を抱えた治療法でもあるのだ。まず1つは、「誰でもできる治療法ではない」ことが挙げられる。血管内にマイクロカテーテルを通して、正確にがんの周辺にたどりつくには、ミリ単位の繊細の技術を要する。 このような「職人技」は一朝一夕で身に付けられるものではなく、堀医師も若いころから欧州で修行をしたり、長い経験の中で習得している。
また、マイクロカテーテルを通すためには体内の血管1本1本を正確に把握しなくてはいけないので、CTと血管造影装置を組み合わせた億単位の高額な医療機器が必要となる。
つまり、IGTクリニックで行なっている治療を、他の病院でやれと言われても、いきなりできるようなものではないのだ。
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