重機やロボを遠隔操作、4K動画で犯罪防止 ドコモの5G:電波の動きが「見える」機械も
NTTドコモが、展示会「ワイヤレスジャパン」に第5世代移動体通信技術(5G)関連のブースを出展。パートナー企業と共同開発中のさまざまな技術を公開した。
NTTドコモが「ワイヤレスジャパン」(5月24〜26日、東京ビッグサイト)に、第5世代移動体通信技術(5G)関連のブースを出展した。パートナー企業と共同開発中のさまざまな技術も公開したほか、5G電波を可視化できる実験用装置「5Gリアルタイム電波ビジュアライザ」を初公開した。
ドコモと建設機械メーカーのコマツは現在、5Gを活用してブルドーザーを操作する技術の開発に取り組んでいる。ブース内で開催されたデモでは、作業員が操縦かんを操作すると、千葉市美浜区の「美浜機械センタ」に設置されたブルドーザーが指示通りに動く様子が披露された。
ただ、現在の5G技術は長距離の通信に対応していないため、デモではコマツ本社から東京ビッグサイトの近隣まで有線ネットワークを敷設し、そこから5G電波を放出することで通信環境を構築していた。
また、ブースには、ドコモ、綜合警備保障(ALSOK)、NECが共同開発している犯罪抑止技術も展示されていた。監視カメラから取得した4Kの映像データを5Gで伝送し、遠隔地の監視精度を高めるもので、NECが開発した群衆の顔認証技術と組み合わせることも可能。混雑した環境下でも、要注意人物の特定と監視を実行できるという。
ドコモと新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)が共同開発しているのは、「5G FACTORY 2」と呼ぶロボットの遠隔操作システムだ。センサー付きの手袋とロボットハンドを5Gで接続することで、人間とロボットの指の動きを同調できる点が特徴で、工事現場や工場などへの導入を見込む。
初公開した5Gリアルタイム電波ビジュアライザは、20GHz帯の5G電波の動きを可視化する装置。256素子の受信アンテナ、360度カメラ、モニター、高性能PCの4つの機材から構成されている。アンテナが取得した測定データとカメラが撮影した画像を、高性能PCが重ね合わせてモニターに表示することで、電波の様子を可視化する仕組みだ。画面上では、電波が弱いほど青く、強いほど赤く表示される。
このほか、ブースでは、5Gを活用したサービスの実験区域「5Gトライアルサイト」内でも公開している、東京スカイツリーの眺望デッキで撮影した8K動画などが放映されていた。
ドコモは5G技術の開発を中期計画「beyond宣言」の中核に位置付けており、2020年頃の実用化を目指して今後も開発を進めていくとしている。
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