ドイツのスーパーが、かなりの勢いで世界中に広がっている秘密:来週話題になるハナシ(3/5 ページ)
ドイツのスーパー「ALDI(アルディ)」が、ものすごい勢いで成長している。英国や米国などでも店舗数を増やしていて、現在、世界18カ国で1万店以上を展開。日本では聞き慣れないこのスーパー……なぜ世界の人に支持されているのか。
世界で拡大を続ける秘けつ
英国や米国で存在感を増しているアルディだが、国内のみならず世界でも拡大を続ける成功の秘けつは、同社がユニークなビジネスモデルを採用していることがある。
まず、1つ目の特徴は、アルディの店舗は競合他社と比べて、規模が非常に小さいことだ。売り場面積が小さいので、当然のことだが、店舗で取り扱える商品にも制限が出てくる。そのため、アルディでは、日常生活に欠かせないベーシックな商品しか取り扱っていないのだ。
また、個々の商品に関しても、サイズが1種類のみだったり、取り扱うブランドが少ないなど、あえて選択肢を絞っている。効率よく買い物をしたい消費者には、無駄に広い店舗をぐるぐる回って商品を探す必要がないので、時短になると好評だ。
2つ目の特徴として、従業員の無駄な手間を省いて、サービスの向上を図っている点が挙げられる。例えば、店舗内の商品ディスプレイだ。一般的なスーパーでは、棚に商品を陳列しているため、従業員がこまめに商品をストックし、きれいに並べる必要がある。
しかし、アルディでは、商品が届けられた段ボール箱などをそのまま陳列に利用するため、簡単に積み重ねられ、従業員の作業時間やコストの上でも効率が良くなっている。
さらに、野菜や果物などは、一般的なスーパーのようにバラ売りをしていない。袋入りで販売しているので、レジでいちいち測って値段を入力する手間がいらない。袋に貼られたバーコードをスキャンするだけなので、レジ待ちの時間も短縮できる。
ほかにも、買い物用のショッピングカートが、コイン式になっているのも通常のスーパーとは違う点だ。コインを差し込んでピンを抜き、使用後はまたピンを戻すことでコインが返却され、実質無料で利用できるというシステムだ。
これも戦略である。利用者が決められた場所にカートを返却することで、欧米のスパーマーケットにありがちな、駐車場に散乱したカートを回収するといった、従業員の作業をなくすことに成功している。
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