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都心で拡大! 激安「一軒め酒場」の儲けのカラクリ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/3 ページ)
一軒め酒場は、1000円あれば楽しめる庶民の財布にやさしい大衆居酒屋だ。2008年に東京・神田に1号店をオープンし、現在は首都圏を中心に64店まで拡大させている。
営業時間は立地ごとに異なる顧客ニーズに合わせる
営業時間は、夕方から終電の時間まで、昼から終電の時間まで、24時間営業――といった具合に、店によってバラバラなのも特徴だ。立地ごとに異なる顧客ニーズに合わせて柔軟に変えており、チェーンだからと言って、同じ時間で一律に営業しなくてもいいという考え方だ。
夜勤の人が多く通る場所なら深夜も営業。昼から開いている店は、リタイアしたシニア、主婦層の来店を狙っている。
一軒め酒場は必ずしも養老乃瀧からの業態転換をはかっているのではなく、むしろ新規に出店しているケースのほうが多い。
一軒め酒場の成功は、時代に寄り添って変化を続ける老舗、養老乃瀧の底力を改めて示したものだ。既存の工場や配送システム、メニュー開発やオペレーションのノウハウを活用しながらも、既成概念にとらわれず全く新しいブランドを打ち立てる心構えでチャレンジしたのが奏功した。
このような柔軟な経営の姿勢を保ち続ける限り、一軒め酒場は順調に発展していくだろう。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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