2カ月で180万部! 『うんこ漢字ドリル』がバカ売れしている理由:水曜インタビュー劇場(ぶりぶり公演)(2/6 ページ)
文響社の『うんこ漢字ドリル』が売れている。すべての例文に「うんこ」が登場していて、小学生はゲラゲラ笑いながら学習しているという。同社は参考書をつくったことがないのに、なぜこのようなドリルをつくることができたのか。担当編集者に話を聞いた。
リサーチを徹底的に行う
土肥: 『うんこ漢字ドリル』がびっくりするほど売れていますね。小学生が6年間に学ぶ1006の漢字すべてに3つの例文が掲載されているわけですが、担当編集を任されたときに不安を感じなかったでしょうか。というのも、すべての例文が「うんこ」ですよ。うんこ、うんこ、うんこ。表現をちょっと誤れば、保護者から怒られるかもしれない。「ウチのおぼっちゃまが悪影響を受けたらどうするんざますか?」といったクレームが殺到するかもしれない。ま、語尾に「ざます」を付ける人に、これまで一度も会ったことはありませんが……。
谷: 「うんこ」という言葉って、小学生の低学年と男の子は好きですよね。でも、高学年と女の子はあまり口に出さないので、嫌がるのではないかと思っていました。そのような先入観があったので、編集部からは「全学年のドリルをつくるのではなくて、1〜2年生を対象にしたモノだけでいいのでは?」といった声がありました。
土肥: でも、全学年のドリルを発売していますよね。何があったのでしょうか?
谷: リサーチに1年ほどの時間をかけました。A塾に行って、B塾に行って、C塾に行って。子どもたちに、実際にやってもらいました。また、保護者にも見てもらって、たくさんの意見を聞いて回りました。
土肥: で、どうだったのでしょうか?
谷: 「うんこ」に対して、忌避する気持ちがほとんどありませんでした。個人的に「うんこの例文は面白いと思うけれど、大丈夫かなあ」と心配していましたが、子どもたちからは「面白い」、保護者からは「インパクトがある」といった声が多かったんです。また、楽しんでいるのは低学年と男の子だけでなく、高学年と女の子も笑いながら漢字を読み書きしていました。
土肥: 本を出すときって、それほど手間暇かけるものなのですか?
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