ひょっとしたら、白鵬は「悪役」を演じているのかもしれない:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)
大相撲夏場所で、横綱白鵬が優勝した。最近は稀勢の里に人気が集中し、脇役になりつつあったが、さすがの強さを見せつけた。勝っても負けても、世間から批判の目を向けられる白鵬は、ひょっとしたら「悪役」を演じているのかもしれない。
“アンチ白鵬”の声
高安も一撃必殺の「かち上げ」を得意としており、2場所前の春場所では7日目に対戦した蒼国来をこの得意技一発で土俵外へ吹っ飛ばしている。しかし高安が白鵬とほぼ同じ体勢から繰り出す「かち上げ」を相手に食らわせても「エルボーじゃないか」などと特に批判が向けられることはない。逆に「厳しい攻めを見せた」と激賞されるのだから、不思議だ。
白鵬に厳しい批判が向けられても仕方がないシーンもある。先日の夏場所で優勝を決めた一番の大関照ノ富士戦において、相手を寄り切った後にダメ押しするなど、時として余計な行為があった。そして勝った後に手刀を切り、行事から懸賞金を受け取った右手を「どうだ」と言わんばかりに振りかざす仕草にも横綱としての品格を疑う声が一部から向けられている。
だがこれらの行為についても、もしモンゴル国籍を持つ白鵬が日本人力士だったら、それほどのバッシングは浴びせられないのではないか。実際に相撲界の親方衆、そしてOBの中には白鵬が歴史に名を残すような大横綱となりながらもいまだに日本人帰化を拒んでいることに抵抗を覚えている人物が多いと聞く。
白鵬は間違いなく強いが、稀勢の里や高安の和製力士と違って外国人力士。だからどうしても強いと何となく憎たらしく見える――。「ヘイトスピーチ」とまでは言わないまでも世間にもそういう偏重的な考えを抱く“アンチ白鵬”が増えているからこそ、勝った後のダメ押しや懸賞金の振りかざしなどの行為がまるで鬼の首を取ったかのようなバッシング材料となり、「かち上げ」についても「白鵬の場合は高安と違って全部禁じ手のエルボーだ」と決め付けられる見方をされてしまうのではないだろうか。やや乱暴な見解かもしれないが、どうしてもそのように思えてならない。
“アンチ白鵬”と思われる人の中からは先日の夏場所で優勝を飾った後の表彰式においてNHKのインタビューを受けた際「ただいま、帰ってきました」と右手を挙げた行為に対してまで「横綱としてあるまじきポーズだ」とイチャモンをつける書き込みがネット上であった。さすがに「それぐらいは別に許してあげてもいいじゃないか」と思う。
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