ひょっとしたら、白鵬は「悪役」を演じているのかもしれない:赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)
大相撲夏場所で、横綱白鵬が優勝した。最近は稀勢の里に人気が集中し、脇役になりつつあったが、さすがの強さを見せつけた。勝っても負けても、世間から批判の目を向けられる白鵬は、ひょっとしたら「悪役」を演じているのかもしれない。
心からずっと待ち望んでいた
世間にアンチ白鵬がいることは理解できる。しかし白鵬が「スーパーヒール」となって一挙一動に対して何でもかんでも叩かれてしまうような傾向に拍車がかかる流れには、もう歯止めをかけなければいけない。
かつて白鵬は大相撲が八百長問題や野球賭博問題、力士大麻問題、時津風部屋力士暴行死事件などの不祥事が相次いで重なって存続の危機にさらされた暗黒時代の間にも横綱として復興のための使命感にかられ、苦しみながらも大役を担ってきた。その中でこれだけの功績を残してきたレジェンドであることを忘れてはいけない。しかも横綱は日本人でなくモンゴル人。外国人力士が日本の国技である大相撲を何とか存亡の危機から救おうととにかく懸命になっていたのだ。
だからこそ白鵬は現在の大相撲ブームの到来を誰よりも喜んでいる。稀勢の里が19年ぶりの日本人横綱となり、さらに日馬富士、鶴竜、自身とともに4横綱の時代となったことについて「心からずっと待ち望んでいた」と満面の笑みを見せながらコメントしていたのはとても印象的だった。
「1人横綱」として角界を支えた苦難の時代を思えば、感無量だったのだろう。夏場所優勝後の一夜明け会見では、大関昇進を決めた高安について「若手を育てるのも我々(横綱として)の役目です。今場所は14日目、千秋楽と(連敗して)後味の悪い終わり方になったけれども、場所の前半に見せたような(相手を)圧倒する体当たりを見せる、そういう迫力のある大関になってほしいですね」とエールを送っている。
大横綱としての自覚を持ち、強い力士たちがどんどん育って角界全体がレベルの高い対戦を繰り広げることで大相撲人気の隆盛につなげたいとする考えを持っているのであろう。
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