連載
トヨタアライアンスの現在地:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)
これまで自動車業界の世界一争いは、トヨタ、フォルクスワーゲン、GMによる1000万台の年間生産台数が基準だった。そこにルノー・日産アライアンスが加わったわけだが、さらにトヨタは新たなアライアンス構築によって、唯一1600万台という巨大アライアンスへと踏み出した。
マツダの役割
マツダが狙う提携のメリットは大きく分けて2つある。1つは北米市場に必要なEVのユニットの調達だ。マツダの規模では独自開発しても開発費の回収が難しい。これはスバルも同じだが、EVユニットの供給を受けるということが直接的に製品の金太郎アメ化を意味しない。マツダの内部関係者によれば、まだ調整中であると前置きしつつ、ベースユニットを共用しつつ、マツダはマツダのクルマ作りをする方向になるという。トヨタが作ったクルマにマツダのバッジを付けて売るつもりではなさそうだ。
もう1つ、先進技術領域の話がある。特に運転支援や車両データ通信などは、インフラと深くかかわる部分が大きい。方式の統一を考えれば、トヨタアライアンスの意味は大きい。小さいメーカーはそうした場面では単独でインフラのイニシアチブは取れないからだ。
また、トヨタアライアンスの中で、マツダの役割は少し特殊だ。マツダには少ないリソースをうまく使って製品化する技術があり、トヨタはそこに注目している。具体的にエンジンがほしいとか、シャシーがほしいということでない。トヨタは技術で劣っているとは気ほども思っていないので、部品や製品の供与は望んでいない。しかし、マツダのコモンアーキテクチャによる効率的な開発技術には強い興味を持っている様子だ。
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