デジタルビジネスの時代に必要な人材マネジメントとは?:指示体系や採用を変革(1/3 ページ)
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのテクノロジーを活用したビジネスが発展しつつある現在、人材マネジメントの分野には何が求められるのだろうか。「HR」(Human Resource)に詳しいデロイト トーマツ コンサルティングを取材した。
現在のビジネス界では、テクノロジーを活用して業務を変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」がトレンドになりつつある。特に、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ分析、ロボティクスなどのテクノロジーは、既存の業務を大幅に効率化すると考えられている。
このような状況下で企業が成功を収めるためには、テクノロジーを使いこなせる人材を採用し、適切な部署に配置するほか、ITリテラシーを高める研修プログラムを考案するなどの「HR」(Human Resource)分野を変革する必要がある。
では、具体的にはどのような手法が存在するのか。デロイトが、世界140カ国のの人事およびビジネスリーダーに実態調査を行い、その結果を踏まえて「デジタル時代のHRの在り方」を提言した。
「スピード感」と「協働」が成功のカギ
デロイトの調査によると、現在の企業の組織形態は、社長を頂点とする“ピラミッド型”が大半だという。この場合、意思決定の仕組みはトップダウン型で、若手社員は管理職の許可がなければアイデアを実行に移すことはできない。
しかし、デロイト トーマツ コンサルティング執行役員ヒューマンキャピタルリーダーの土田昭夫氏は、「配車サービスの米Uberや、民泊サービスの米Airbnbなど、短期間でデジタルビジネスに成功した企業は、ヒエラルキーにとらわれない組織デザインを導入している」と指摘する。「具体的には、IT部門などの他部署とも階層なく柔軟に協働する“ネットワーク型チーム”と呼ぶ組織形態を採用。『Slack』や『Skype』などのチャットツールも積極的に導入し、無駄なミーティング時間の削減も行っている」と話す。
デロイトによると、調査対象のうち、チャットなど協働のためのツールを「試験導入している」と答えた企業は全体の73%と多数で、他部署との協働を実現する上で最低限の環境は整ってきているという。土田氏は「企業は今後、社内の組織形態を変革し、スピーディーな意思決定を可能にする体制を構築できるかが成功のカギになる」と分析している。
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