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あなたが電車内で失った“忘れ物”の運命杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/4 ページ)

梅雨入りを控えて、ということだろうか。阪急電鉄と相模鉄道が、乗客の忘れ物に関するプレスリリースを出した。阪急電鉄は傘の保管期間を短縮するという告知、相模鉄道は2016年度の忘れ物件数が過去最多になったという報告だった。持ち主は忘れていても、忘れ物を預かる側はいろいろ手間がかかる。

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


 「傘の忘れ物にご注意ください……」

 雨の日、電車内の自動放送のあと、車掌さんが付け加える時季になった。電車の手すり、プラットホームのベンチに、ぽつんと取り残されている傘。忘れられたのか。捨てられたのか。強風などで骨が曲がっていたらごみ、きれいに畳まれていたら忘れ物。そういう区別はない。食品の空容器など明らかにごみと分かるもの以外は、忘れ物として扱われる。

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電車内の傘の忘れ物はどう扱われているのか?

 阪急電鉄は5月24日、「傘のお忘れ物の保管期間を2週間に変更します」と発表した。従来の保管期間は3カ月だった。それを2週間に変更し、持ち主を特定できない場合は処分するという。大胆で厳しい変更に思えるけれども、それは誤解だ。今回の処置で、傘に関しては持ち主が引き取りやすい形になっている。傘以外の忘れ物に関しても、阪急電鉄は他社より丁寧な対応をしており、それは継続される。

 阪急電鉄公式サイトの「阪急線内でのお忘れ物のご案内」を見ると、同社の忘れ物の対応は次の通り。各駅に届けられた忘れ物は、梅田駅のお忘れ物センターに集められる。ここで3日間保管されたのち、大阪府警曽根崎警察署に移され、さらに3カ月間保管される。これで持ち主が引き取りに現れなかった忘れ物は処分される。

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阪急電鉄「お忘れ物の流れ」(出典:阪急電鉄

 今後、傘に関しては扱いが変更になり、警察署に移されない。梅田駅のお忘れ物センターに2週間保管され、引き取り手がなければ処分される。全体で3日+3カ月だった保管期間が、傘に関しては2週間となり大幅に短縮となる。しかし、梅田駅のお忘れ物センターの保管期間は3日から2週間の延長だ。これまでは4日目以降に傘の忘れ物を申告すると「警察署に移しました」となった。今後は、3日+2週間まで阪急電鉄内に保管されるから、取り戻しやすい期間が延びた、という話である。

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